沈丁花は碧血を所望する〜神憑き文士の飼われあやかし〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330667704706395お世話になっているのに人柄も十分に存じているとは言えないぞ、そりゃいかん、と動きまして、壱単位さんの御作、めくってきました。その方を知るのに小説を拝読する、カクヨムでは一番の手だよな。
端正端麗、というのがしっくり来るような文面、構成。
勘所の盛り上がりに据えられた「りるる」の味、画風が自分とは合わなかったのですけれど、これは完全に性分、大事にしたい重点選択の違いから来たものだろうと感じました。
わずか三話で戻ってきてしまったのですが、それは結果論。たったそれだけの拝読で判断がくだせたのはお手前の達者さゆえだ。
言い換えれば、合う合わないの別なくお話に引き込む強力なツカミが描かれていて、その上で、そこを読むだけでお話のおいしいところが存分にわかる作りをされていた、という……。
これを三話で達成する技量、僕のおよぶところではとてもないのだなと思い、for meかどうかを全く抜きにしたクオリティだけで評価を置いてきた次第です。フランス料理がダメな身の上だとしても、コース=懐石、としていくらの値がつく技かはわかるじゃんな。
あとは好みが合うかどうか。
三話、いや、一話を読むだけで十分その判断はつくかと思います。
仮に合わなくても、いい文章をかじるという側面だけでも元は取れるはず。損はない。
「病弱少女」「人格反転(擬似)」「あやかしへの変化」といったキーワードが刺さりそうな方はなお見る価値があると思うので、ぜひどうぞ。