初めまして。裴淵太(はい えんた)、と申します。
シナリオ、レトリックなどについて日々勉強している文学生です。ペンネームの由来は司馬遼●郎的なアレです。
早速ですが、騰蛇(とうだ)の牙、やっと劉備さんが挙兵してくれましたので、ここはまず記念に解説のようなものを。
というのも、構想を練り始めてからここまで書くのに八ヶ月以上かかっております。色々苦労しました。演義・正史問わず三国志小説のお約束を沢山破りたい、固定観念を打破することによりある種の原点回帰を果たしたい、そういう作品です。
さて。『騰蛇の牙』における劉備の描写ですが、『英雄記』『典略』の“梟雄”的なイメージを多めに取り入れています。
念の為解説させて頂きますと、正史には陳寿(ちんじゅ)の書いた『本文』のほか、裴松之(はいしょうし)という方が付け足した『注釈(異説なども)』が入っており、その注釈にしばしば引かれる資料の一つに、『英雄記』『典略』というものがあります。どちらも魏の側から見た記録で、この二つ——特に英雄記の方の劉備はかなりワイルドで強かな印象を受けます。大好きです。惚れます。
西暦187年の大乱、『張純の乱』にて劉備が挙兵したという記述も典略にあるものです。個人的に劉備の挙兵といえば黄巾の乱、夢を抱いた若者が乱世の大海原へ漕ぎ出していく——というようなイメージが強かったのですが、そこも少しいじってややほろ苦い出立にしてみました。
男子の成人は二十歳から、兵役は二十三歳〜が基本の漢代。二十四歳での挙兵と二十七歳の挙兵では、決意や心持ちの種類もまた変わってくるだろうと考えての試みです。
劉備は正史で最も好きな武将の一人なのですが、この小説の主人公はあくまで時代です。劉備は時代を動かす重要人物の一人ということになりますが、彼の凄絶な決意の先にある、様々な戦い。数多の英雄と織りなす物語。そして関羽との関わりを、今後も楽しみにして頂ければ幸いです。
ストック切れ+別原稿に取り掛かるため更新少し滞りますが、一月経つまでにはまた更新しますのでよろしくお願いします。ここからやっと史書のターン、数多の民族や英雄がじゃんじゃか出てくる予定です。
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