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「ミスチル」で負けた話

 みなさん気を確かに、落ち着いて聞いて欲しいんですが、今日しりとりをしましてね。32歳、俺はともかく同期なんかだともう課長とかになってるやつがいたり、会社を立ち上げたりしてるやつがいたり、とにかくそんな年齢なんですけども、しりとりをしたんですよ。悪いか?

 でもまあ我々も大人なので、単にしりとりって言ってもそうそう終わらない。なので、最初「覚えてしりとり」にしたんですが、これは歳を取った悲しさ、4つ目くらいで死ぬんですよ。そんなことあります? 

 いわゆるマジカルナンバー、短期記憶容量は7プラスマイナス2って言われてて、だから最低でも5はいけるじゃないですか、そりゃあワーキングメモリを使ってますから4プラスマイナス1になるのかもしんないですけど(そういう説もある)、にしたってさ、だって一部は自分で言ってるし、リハーサルも繰り返し行なっている、にもかかわらず、「リンゴ、ゴリラ、ラッパ、パンツ、えーっと机」「いやちょっと待て、さっき言ったのはパンダだろ」「嘘だあパンツだよな?」「……(すでに思い出せなくなっててはにかむ)」みたいになるんですよ。終わってる。全員脳細胞死滅してるとしか思えないんですが、まあ死滅してるのは受け入れるしかない。一人を書記にする案もなくはなかったんですが、それもさあ、情けない話じゃあないですか。ことここに至っては、書記が正しく字を書けるかも怪しくなってくるし。

 それで、ノーマルしりとりにして、そのかわり時間制限をつけましょう。ひとり5秒。テンポよくいくぞっ!!
 でこのルールちょっと面白いのは、「る」攻めがしにくいんですよ。「る」攻めとは何かって、今更説明もどうかと思うんですが、ようするに「る」で始まる言葉が少ないらしいので、こっちは「る」で終わる言葉を繰り出せば勝率が上がるという手なんですが、時間制限がなければそりゃ思いつきますが何しろ5秒制限、特定の語から始まって「る」で終わる言葉を探さねばならず、ちょっとだけエキサイティングになる。

 さらに、言葉に疑義を呈するのが難しくなる。たとえば「る」攻めにあって、「ルビカンテ!」という(これはみなさんご存知、FF4に出てくる炎の四天王のやつですね)。したら、これもちょっと面白いんですが、前の言葉でプライムされるのかゲーム用語が続いて「テルパドール!」って言われるんですよ。

 でここで、「なんだよテルパドールって」と言うことをチャレンジと呼ぶことにしたんですが(バレーの大会でチャレンジルールがあるのが面白いと思ったから)、チャレンジするとそれで5秒使っちゃうじゃあないですか。この時、テルパドールが本当にあったらチャレンジ側の負け、なければチャレンジ側の勝ちってことにしたんですけど、あるんですねテルパドール。ドラクエ5の砂漠の町だそうです。良く出たなテルパドール。しかも「る」攻めだし。

 って感じでやってると、謎の語にチャレンジしにくくなるんですよ。だってあったら負けだもん。で、そうなってくるとギリギリのセンも攻めたくなるじゃあないですか。自分でもねえかなって語でいく。通しだったらやったった感が出る。「サンディル!」とか適当に言う。なくはなさそうー。通る、みたいな、まあそういう遊びをしてて面白かったんですけど、唯一ちょっと不満があったのが、「鏡」って言われて、すぐ思いついたのはもちろん「ミラー」なんですが、これはつまんないっていうか楽させるだけじゃあないですか。そいで、「ミスチル」って言ったんですよ、ドヤ顔で。「る」攻めだぜみたいな顔で。

 したらチャレンジ! って言われるんですよ。待てと。ミスチルだよ? ミスターチルドレンじゃあないですか。全員知ってるでしょ。「る」から始まる語がなかったのかな? 苦し紛れもいいとこ。プークスクス。

 したらチャレンジャーの主張は、こう。「ミスチルは略称であって、正式な語とは認められない」
 はっきり言ってですね、こんなの無理筋じゃあないですか。だってじゃあ「スマホ」とかダメんなるでしょ。でもスマホなんて一般名詞ですよね既に。許容だろどう考えても! そんなのは詭弁だ!!
 ところがですよ、この主張が通りそうになるんですよ。「確かに略称を認めると、セイコーマート、セイコマ、セコマ、どれもアリになってしまって混乱がある」みたいなことを言う。ないでしょ、どこにあんだよ混乱。納得いかない。
「いやでもミスチルだよ? みんなミスチルって言うじゃない。まあ百歩譲って、もうミスターチルドレンって言っててミスチルだったらこれは被りでダメかもしんないけど(熱くなってたので気づかなかったが、その場合「ん」がつくという基本ルールで言ったやつの負けですね)、今はそうなってないじゃん、これは通しでしょ」
「でもそれをアリにしたら、たとえばスーファミをスパファミというのもアリだとか言い出すんでしょ、どうせ」
「さりげなく俺の地元をディスるのはやめろ!」(俺の地元はスーパーファミコンを「スパファミ」、ファイナルファンタジーを「ファイファン」と略す風習がある場所で、長じてからそれが少数派であることに気付かされる呪われた地なのである)

で、水掛け論だってことになって、どこが水掛け論だよって感じだが多数決になって、2-1で負け、ミスチルは負け扱いになった。悲しい出来事だった。でもまあ、5秒しりとりは結構面白いので、おススメです。小学生とかだったら。成人済みの皆さまには微妙かもしれません。俺は楽しかったです。

2件のコメント

  • ミスチルをミスターチルドレンっていちいち正式名称で言う人の方が少数派な気がします

    くろ
  • だから「スマホ」とか、あとたとえば中国とかですよね、、、。ピカソとかよ。それをそのあと責められれば良かったんですが(ただし、遡求はしないことになっていたのでこの負けは残る)、やはり警戒するのとこっちも考えるの忙しいので、特に言えませんでした。でルール増やしてく方が思考負担かかって楽しいんですよね、それもあって…みたいなところはあります。
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