• エッセイ・ノンフィクション
  • 現代ドラマ

べこ餅や 柏の借り衣 恥じ入って

べこ餅というのは、すあまみたいな餅で、白色部分と黒色部分があるので、べこ(牛)っぽい、ゆえにべこ餅という。
北海道は端午の節句と言えばこれ。というか俺はこれを柏餅だと思っていたが、言われてみれば柏餅も食ったことありましたね。そう。またこれだ。またこのパターン。北海道にしかないよその風習パターン。しかも道民がわりと無自覚系。

みよしのとかはまだ分かるっていうか、まあ所詮言ってもチェーン店。だから、「ないよ」と言われても、「ないのか」「そうか」で済む話だし、まあ経営戦略的なことでなんか説明がつくわけである。しかしですだよ。

端午の節句がいつからある行事かは知らんけども、まあ江戸とかでしょどうせ。300年前とかの話ですよ。そんくらい昔からあって、かつこれは全国的なイヴェントであること間違いない。何しろ「子どもの日」つって休みですからね。みなさん知ってるでしょ端午の節句。

でだ。その有名なイヴェントをだよ、新興の地蝦夷でやりましょって言って、なんで柏餅を出さないのかと俺は問いたいわけですよ。

いや俺だって子供じゃあないからね。そっか、柏の北限が弘前とかそのへんで、北海道では育たないのかなと。ここらにはない柏の代用でべこ餅を作って柏餅に思いを馳せた、それならまだわかるっていうか、わかるどころか開拓の浪漫、男達の挽歌って感じが出てきてむしろ誇れる話なのかなってちゃんと思いましたよ。で、ウィキるじゃあないですか。

"北海道の道北や道東など寒冷でクロマツが育たない地域では、防風林を構成する樹種としてカラマツとともにカシワが採用されることがある"

ンンンンー生えるーーむしろクロマツより生えるーーーーッ!

じゃあなんでやねんな、とちょっと思いますよね。いやいんだけどさ、べこ餅うまいよ好きですよ。ただなんでそういうポジションにすっと、普通の顔しているのか。

と思ったんだけども、まあこれは人間様の都合であって、べこ餅サイドにしてみれば、「いやわたくしめなんかが……柏餅様の地位にそんな置かれるなんていやはや」みたいに思って恥じ入っているかもしれない。「借り衣」というのは「かりぎぬ」と読んでくださいねってかこれタイトルの句の解説なんですがみなさん憶えてますか? タイトルに句があったこと。そもそも。

思い出してもらったとして、「借り衣」=「かりぎぬ」=「狩衣」、で狩衣は公家の装束ですから、「本当は庶民なのに、貴族のように振る舞わさせられていることの気恥ずかしさ」みたいなこともちょっと漂わせる、そういう句です。解説が長い。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する