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デブの異世界転移ってはてしない物語ですよね

 デブがもてるという文化はあるわけです。
 
 というのは、まあ一番わかりやすいとこで言うと富の象徴なわけですね。あんま動かなくていい・でもいっぱい食えてる、っぽく見えるわけだから。
 現実的には、アメリカなんかも、日本もそうなんですかね? 貧困層ほど太る、みたいなことになっているようだけども、まあその、その国の事情とかがあるわけだから。
 
 で、こういうのは、というのはつまり、「何が美しくて何が醜いか」みたいなものというはかなり流動的なものなので、最初の段階ではそらあ「太っている方が富の象徴で」みたいな理屈があったのかもしれないけど、とにかく「それがカッコいい!」という文化ができあがっちまえばこっちのもんで、実際に富を持とうが持つまいが太っている方がイケてる、という世界が発生することだってありえる。

 ということで、デブが異世界転移すると、その世界の経済状況とかによっては、デブのままモテうるわけです。俺は異世界ものあんま詳しくないのであったらごめんなんですが、つか「はてしない物語」ですら、バスチアン君は転移後即チート異能を使って自分をイケメンに仕立て上げちゃうわけで、だからデブがデブのままモテる話というのはあんまり多くないのだろうと思う。
 確か「豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい」は、デブがデブのまま転生したんじゃあなくて、転生したら豚になった、だよね? しかもダイエットとかするんだよなこの話たしか。なぜ痩せようとする。違うだろ(違わないよ)。

 理屈は通ってると思うのよ。現にこの世界にだって、デブでモテる文化があるんだから、異世界が星の数ほどあるんだったら、そういう世界があったっていい。問題なし。
 そいで、じゃあなぜデブが呼ばれたかというと、まあ魔力というのは脂肪に溜まるわけですよ。だから強い人を呼んだらデブが来る。みんな魔王軍にこう押されちゃって、食い物と言えばジャガイモしかなくて、でもってみんなやせ細っているから力が蓄えられず、結果魔王軍がより押してくるというデフレスパイラルみたいな状態があるわけだ。そこでデブの活躍だよ。
 で、ヒロインはやせっぽちの女の子だけど、まあ我々の醜美の基準から言えばすげー美しいのに、その女の子側は、「わたしなんて、こんな貧相な体ですから……あなたに愛される資格なんてないですぅ」みたいなことを言うから、こう、自分がちょっとマウントとった状態で好きにできるじゃあないですか。デブはたかだか数十キロ人より体重が多いというだけで、人格とは無関係に(でもデブと人格はいろんな意味で関係はあるよな、と自分で記録をつけだして思うようにはなったけど)普段マウント取られてるわけですから、こういう状況がたまらないと思うんですよ。
 で、「脂肪を効率よく蓄えるためには、炭水化物を一杯とって、そんですぐ寝るんだ!!」「その発想はなかった!! さすが策士!!」みたいになればいんでしょ? 

 違う。ちょっと待って。怒んないで。俺別に異世界ものが嫌いってわけじゃあないですよ。これはあれです、「ネット上で実作を読んでもいないのに偏見で語られる異世界ものテンプレと称される何か、について語る人のまねをすることによって、架空の『あるある感』を誘発しようとするジョーク」であって、異世界ものそのものに対しては別に批判的意図はないからね。自分でジョークを解説するほど空しいことはないが、ここから批判的意図は読み取らないで欲しいってことです。

 でね。こう、デブ料理なんかもガンガン開発していくわけ。最初に酪農の村を魔王軍から解放して、「牛乳をめっちゃ振るんだ!!」「それはなんですか?」「これはバターという!!」的な。
 で最終的には、頼りになるデブパーティを組んで魔王を撃退、ヒロインの子もちょっとふっくらするんだけど、まあそれはそれでいっかみたいな、そんな感じでみんなで笑顔になって大団円、最後の最後は「ぼくもお父さんみたいに太れるかなあ」「いや……これからの時代にもう争いは起こらない。だから脂肪はいらないのさ……」みたいなそんないい感じのセリフで〆。しまったかどうかについては皆様の判断にお任せします。

 いける。いけるんちゃうんかな。誰か書いてくれませんか。あるいは、もうあるよ、ということでしたら教えてくれませんか。

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