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タッチパッド・イズ・デッド

ノートパソコン、ラップトップPC、まあ呼び方はどうでもいいけどようするに全部一体化したPC、は持ち運びが便利だし、最近はわりとパワフルなので動画編集とか華麗な映像のMMORPGとかやりだすと大変だけど、webを見たりオフィスソフトの操作をしたりってくらいでは全然へこたれない、山椒は小粒でもぴりりと辛いを地で行くナイスガイ、なんだけど、困ったことが一つあってそれは何かってえと、パソコンで一番壊れやすい、ダメになりやすいキーボード、まああとはディスプレイ、のあたりが換装不可、あるいは困難であることで、今現に困ってる。

というのは完璧に突然、タッチパッドは無効ですってな通知が出現してタッチパッドが死んだ。唐突な死だった。今のいままで元気に笑って、なんなら俺はハタチになるまで生きていたくはない、薄汚れた大人になるくらいだったら死んだ方がマシだ、なんて青臭いことを語っていたのに突然ふっと灯火が消えるようにその若い命を散らしちまった。
もちろん延命治療はしたとも。パソコンを再起動する、タッチパッド以外のキーボードは生きてる、生きててタッチパッドの死を、これって現実? 冗談だろ? って困惑した顔をしてる、やつらを総動員してコマンドプロンプトからコントロールパネルを立ち上げて、タブキーなんて使いながら色々と弄くり回して。

分かったことはタッチパッドがほんとに死んでる、ということ。

急だった。いや死はいつでも急なものだけど、にしても突然だった。まるで、偶然何かしらのショートカット・キーの組み合わせを押してしまった結果、少し機能が停止しただけ、みたいな唐突さでタッチパッドは死んだ。

どうなってるんだベイベ、と俺は思った。そら俺は確かに、新しいmacbookのローズゴールドって俺が持ったらどうかな、可愛らしいすぎやしないかな、なんてことを考えたりもしてたけど、それはあくまで夢想ってか、アイドルともし付き合えたらみたいな、現実化には程遠い、架空の話、辛い日々をなんとか受け入れるための救いの物語、であって真剣に考えてたわけじゃあないんだ。

それが気に食わなかったんだろうか? 俺はアイドルなんかじゃあなくて本当は、本当に、お前のことが好きだったのに。好きというか、そういう情熱から少し離れたところにある、こんな表現手垢がつきすぎてて嫌だけど、空気みたいな存在。そういうもの、そりゃあちょっとは汚れたりしてて、だからなんとかしなきゃなあ、って遠く思うくらいの。でも突然真空になるとは思わないだろ? でもなった。ここは地球だと思ってたのに、ほんとは宇宙でした、みたいな感じで急に空気がなくなって、俺は全身の血液が沸騰するのを感じてる。

タッチパッドの死はパソコンの死で、それはとりもなおさず俺自身の死、でもあるのだ。これがノートパソコンの弱点だ。壊れやすい部分が壊れた時に使用者まで死ぬこと。

ということで今日の帰りに久々にマウスというものを買ってみようと思うが、さて無事に動くかどうか。

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