どうも、枝乃チマです。
本日より兄ばかの最終回を投稿致しました。
今回は最後という事で、今までネタバレになる可能性があるので当時言えなかった裏話や裏設定、没設定などを語っていきたいと思います。
まずは序章のこぼれ話。
今はリメイクされた後の内容になっているので当てはまりませんが、実は第1話執筆時点で第2章の「グラトニーをモルテ・グレイシアで倒して妹と再会」という所まで考えていました。
フェリノートの記憶喪失は「実はフェリノートはシンの妹じゃないんじゃね?」というミスリードを狙ったものでした。実際騙された人が居るかどうかは知りませんが。
第2章を見た後だとグレイシーのキャラがモロにグラトニー過ぎて「何でシンは気付かないん!?」となりますが、もちろんグレイシーの正体がグラトニーだという事も考えていました。
次に私の大本命である第1章。
1章はとにかくシリアスで惨い展開が多かったですね。
兄妹のてぇてぇを見たくて第1章読んだ人はドン引きだったでしょう。初手から家出、からの洗脳された妹ですからね。序章では怪しさプンプンだったマスターとのやりとりがオアシスになるとは思わなかったでしょう。でもそんなシリアスな始まりの原因を作ったのは紛れもなくシンだというのが本当に残酷。しかも本人も良かれと思っての行動の結果ですから余計に…。
ラグニアとの戦闘に勝利したのは、結果的に“シンが悪魔の子である”という伏線になった訳ですが、当時はもちろんそんな事は考えていませんでした。魔術の応用が凄すぎるのは、ある種の最強主人公モノに対する皮肉でもありました。「最強主人公モノって意味も理由も無く強いんやろ?これがみんなの求めるイマドキの主人公なんやろ?」みたいな…とにかくアンチを極めております。
そして、この第1章を語るにおいて外せない存在は、やはりルィリアですよね。彼女は本当に報われない…。個人的に神回だと思っている「第35話 てんさい」は執筆中にボロ泣きしてましたもん。誰も報われない展開がもう辛過ぎて辛すぎて——あれ?私って悪魔の素質あるかも。そこの君、僕と契約して魔法少女に(殴
因みに第1章のシンの口調が少しアーシュみたいになっているのはわざとです。序章と第2章では大人になって落ち着いているような口調になっていますが…それでも所々少年時代の口調に戻っていたりします。
余談ですが、第1章の結末も第1話を描き始めた頃から構想していました。まだ完璧に固まってはいませんでしたが「自分を養ってくれた大切な人をやむ得ず殺す」という展開にすると決めていました。
第1章の目論見としては「読者に“シン…お前もう死んだ方が幸せじゃね?”と思わせる」でした。
そしてまさかの展開、第2章!
兄妹同士のてぇてぇしか取り柄のないこの作品で兄妹を離れ離れにさせたら何も残らないジャマイカ!という声が聞こえてきます。
ですが敢えてそうしたのは理由がありまして…現世に戻ってきた時、フェリノートとアーシュの間に絆が生まれている事を知ったシンが「もう俺は必要無いな」と思わせる展開にする為でしたが…結果的に没になったのでマジで意味ありませんでした。
第2章ではとにかく没にした展開が多いです。フェリノートの中に寄生虫が入っていた事とかまさにそうです。あれは本来シンがグラトニーを倒した後に、グラトニーがフェリノートの身体を乗っ取る…という展開をやる為にしたのですが、書いている時に「グラトニーをモルテ流で倒すのは良いとして、フェリノートの身体を乗っ取ったグラトニーをどうやって倒すんだ?」という思いから没にしました。
兄視点の話…マースリィン・デストロの話についてですが…これは皆さん突っ込まずにはいられないですよね。「結局シンどうやって脱出したん?」…と。そりゃそうですよね、シイナがルィリア引き摺って現れて以降全く描写がありませんし。その後マースリィン・デストロでシンがどんな動きをして今に至るのかは、書きません。何かの間違いで漫画化されたらやります。
ですがまぁ割とヒント多めですよね。“みんなの犠牲”とか“シンが妹の事をフェリノートと呼ぶようになった事”とか“アーシュへの伝言”とか。
第2章の目論見としては「第1章で集まってくれた読者を引き剥がす」でした。
そしてぐだぐだを極めた第3章!!
第3章は当時構想していた内容とは全く違う展開でした。元々はアーシュとフェリノートの間に生まれた絆に気付いたシンが2人を結ばせる為にあれこれ動く、という話でした。その展開をするにおいて重要なのが、ハティとの契約においてもう一つの代償です。もう時効ですので言うと、その代償は“フェリノートが他人への愛を誓った時、シンは死ぬ”というものでした。
“事が上手く進んでフェリノートとアーシュが結婚することになりました→誓いのキスをする→シンは2人の見えない所で息を引き取る”という、フェリノートだけが幸せになりました、というビターエンドにするつもりだったのです。
ですが様々な問題点がありまして…まず第一に「いくらそういう風に仕向けられていたとしても、あんなにお兄ちゃんしゅきしゅきなフェリノートが兄以外の他人と結婚なんてするか?」と思い、次に「あれこれするって…何を?」と思い、次に「だからシン報われなさ過ぎだろ!シンの末路気持ち悪過ぎだろ!」となって没に。なので第2章でもアーシュがフェリノートに思いを寄せているような描写があると思います。
結果的に没にして正解だと思ってます。だからと言って第3章のグダリは許されるものではありませんが、褒められる箇所は2つあります。
一つはスライム狩りについて。これは実はかなり初期の頃から考えていました。“人々を救う為に王国を歩き回る”…これ、どこかで聞き覚えがありませんか?…そうです、結果的にかつてのルィリアと同じ行動をしているんです。ですがここでも悲しいのは、ルィリアの時は正当な評価を得る事に時間が掛かったのに、シンの時は一瞬で国民から「さん付け」されるほど称賛を得ているという。
そしてもう一つは、カナンについて。
カナン自身が異世界転生者アンチという事もあり私の推しだったので、絶対に雑に終わらせたくないという思いがありました。まぁこの話については近況ノートの「兄ばか更新!その77」にて言及しているのでそちらを是非。
第3章の目論見は特にありませんが、残していたものの後始末をしようというのはありました。
最後に、完結編である「画竜点睛のネクサス」!
この話は完結編らしく“劇場版っぽさ”を重視して書いた話です。プロットを書くほど気合を入れた内容です。寧ろ今まで逆にプロットを書いてこなかったんですよね。
それはともかく、私の中で「“劇場版っぽさ”って何だろう?」と思ったんですよね。そこで思いついたのは、
1、壮大
2、本編を全く知らない人でも追いつける
3、本編にはない新しい展開
4、どんでん返し
だったのです。これを兄ばかに踏襲した結果、画竜点睛のネクサスになりました。
壮大にする為にアヴァリスの計画であるラグナロクを人類規模にして、初見の人でも追いつけるようにいろんな事を簡潔に解説をしたり、本編にはない新しい展開をやる為に今まで出してこなかった“主人公達と同じ境遇の兄妹(敵キャラ)”を登場させ、どんでん返しをする為にメリモアとアヴァリスを契約させたりくだらない理由でラグナロクが起こらなかったりしました。
いやー…画竜点睛のネクサスは良くも悪くも、兄ばかという作品をぎゅっと凝縮したような内容になっていると思います。
紆余曲折ありましたが、良くも悪くも遂に完結です。
ここまで兄ばかを読んでしてくださり、有難うございました。
次の新作ラブコメ小説でお会いしましょう。
『最終回 画竜点睛のネクサス』はこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/16816927861556163273/episodes/16817330652543491957