『茶部義晴』様の作品です。
https://kakuyomu.jp/works/16818023212588948763いわゆる、転生チート系のジャンルとなりますが、
私がこの作品で好きなのは、主人公の前世でのバックグラウンドと、転生したあとの冒険に出る動機なんですよね。
というのも、主人公は生前、窃盗犯、なんです。
はい、犯罪者ですね。
ぶっちゃけその犯罪をする前までも、ダメダメ人生のあげくに、最後は老人からひったくりをして死ぬという、おおよそ救いようのない人生です。
そこで転生にさいして、神から言われる。
「これから行くのは努力が報われる世界だ」と。
その言葉を信じ、異世界での第二の人生は偉大な人物に成ろうと、勇者を目指して幼少から、血の滲むような修行の日々を過ごすんです。
だけどね。彼の不運な人生はそうは問屋が卸してくれないわけでして。
この世界の人々がそれぞれの職業を定められる儀式が16歳であるんです。
この『就業の儀』において、人生のレールが決められてしまうと言ってもいい。
でもね。その結果、彼の職業が、こう決まっちゃったんです。
『盗賊』と。
それは憧れていた勇者という職業とは、真逆。
この世界において日陰者。ともすれば嫌悪される職業。
努力は報われる? とんだ嘘じゃないか。
彼は絶望しそうになります。
だけど、彼のひたむきな努力を身近で見ていた人々は理解していたんです。
誰よりも彼が真っ直ぐに生きてきたことを。
今度の人生こそ、立派に生きたいと願っていたことを。
だから、『盗賊』になってしまった彼を、嫌悪したりせず受け入れてくれるんですね。
それに心を打たれた彼は誓んです。
職業が盗賊だからなんて関係ない。
自分の努力で、自分を見守ってくれた人々が誇れる人間に成れば良い、と。
こうして、勇者になるべく修行を重ねた最強の盗賊が冒険者として旅立つことになります。
盗賊とはいえ、勇者になるために重ねてきた修行のおかげでステータスがやべえことになってるわけですね。
さらには盗賊特有のスキル《盗む》もありますが、これが普通のアイテムを盗むのとはちょっと違う。
この特殊すぎるスキルひっさげて、勇者になりたかった最強の〝盗賊〟の冒険が始まります。