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『掌の宇宙』第1話 解説

《アメリカ先住民・チェロキー族》
 
 チェロキー族は、北アメリカの南東部のオザーク高原(現ジョージア、テネシー、アラバマ一帯)に住んでいたネイティヴ・アメリカンの部族です。

 1821年、混血児のセコイアがチェロキー文字を発明し、北米で唯一の文字をもつネイティヴ・アメリカンとなりました。その諸部族の連合をチェロキー国といいます。白人のやりかたを積極的に取り入れ、狩猟のほかに農耕や牧畜を行い、紡績工場、学校、新聞などをもち、住人の多くがクリスチャンに改宗しました。五つの文明化した民族(チェロキー、チカソー、クリーク、チョクトー、セミノール)の一つと呼ばれます。

 1817年に二院制議会を、1822年に最高裁判所を設け、1827年には英語とチェロキー語による成文憲法を制定し、翌年ジョン=ロスが初代大統領に選ばれました。

 しかし1828年、金鉱が発見され、彼等の住む土地が大暴騰します。1829年、ジョージア州議会は州内のチェロキー国の土地を隣接する各郡に合併し、チェロキーの国民議会をはじめとする集会を禁止し、チェロキー国の存在を否定しました(28もの条約があったにも関わらず)。この処置は、1830年アンドリュー・ジャクソン大統領のインディアン強制移住法によって追認されました。

 1838年、チェロキー族は、インディアン準州までの移住を強制させられました。真冬に徒歩で、一人一枚の毛布しか支給されない過酷な移動を強いられたため、一万七千人のうち四千人以上が死んだといわれています(『涙の旅路』)。

 (作品中のアヨカ、セコイア、エリアス・ブディノー、サミュエル・ウースターは歴史上実在の人物で、史実に基づきます。トーキング・レインは創作です。)

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