• 詩・童話・その他
  • 恋愛

「かわいい惑星_Kawaii Planet(全三話)」を公開しました。

淡風です。

傑作です。自分で書いていて、ここまで筆がのったのは久々です。「桜の樹の下にて」以来かもしれません。つまり二日ぶりってことです。

冗談はさておき、今回は30分ですべてを書ききることができなかったため、三部にわけてお送りしました。総執筆時間は一時間半です。内容自体はあまりぶつ切りにならないようにしているので、前・中・後半として楽しんでいただければと思います。

さて、いくつか小ネタについて話します。まず、「かわいい」を書くにあたり、執筆しながら「かわいい」を調べていました。調べながらでも1話30分というルールは順守しています。それについてはご安心を。
とにかく、かわいいというものを書くにあたり、パステルカラーを用いるというのが最初に決まったことです。(かわいいといえばパステルカラー! という安直な考えがあるのも要因かもしれません)それからかわいい部屋を画像検索しては描写してみる……というのを繰り返していました。
ラタンやビューローを取り入れたのは、日ごろからのかわいいグッズ蒐集の功績かもしれません。嘘です。蒐集はしていません。が、大型のショッピングモールに訪れると普段からそういうものばかり見る癖があるので、「かわいいといえばラタンぽいの」「ビューローってコンパクトになっておしゃれ」というなかなかにこれも安直な設定が生まれました。
あと、ライオンの鬣はほとんど趣味です。あのもこもこの中に顔うずめて背中にうつぶせになって寝てみたい。

政治体制については、かなり細かく描写するか迷いましたが、結局断念しました。あまりそれを詳しく語ることはここで求められていないというのが第一、そしてどうしても難解になってしまわないか、という懸念が第二の理由です。その代わりに文化の変貌や軽視などについてのボリュームを増し、「かわいいは正義」のネタである程度読みやすくはなったかな……と。

「地球では国家が崩壊するまで七十年かかっているのだから。」、これはみなさん大好きなソ連です。ついつい出さずにはいられませんでした。あーあ。

「トウキョ」という表記には元ネタがあります。元ネタというかインスパイア先というべきでしょうが、きゆづきさとこ「棺担ぎのクロ」です。詳細は語りませんが、29番、30番から「ニジュク」「サンジュ」とするシーンがあり、その雰囲気をこちらにも持ち込めたら、という思惑があります。(余談ですが、「棺担ぎのクロ」は「待てば無料」系統のアプリですべて読みました。その後、初めてそうして読んだ漫画を手元に置いておきたくなり、全巻買いそろえたのです)

「失われた文化を求めて――トウキョの方へ」は、プルースト「失われた時を求めて――スワン家のほうへ」のオマージュです。気づいた人はいるのかな?  知っている人は気が付いて面白がるくらいが一番いいのではないかな……

「この星では自分にとって百パーセントの相手を見つけるくらいに困難なこと」は、村上春樹「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」からです(講談社文庫では、「カンガルー日和」の中に収録)。村上春樹作品のうち、比較的はじめのほうに読み、かつよく気に入った作品なのでここで利用しました。

「まる一日私たちはその国を移動してはあらゆるものを見てきた。」「昔、文化は死んだという。しかしそれは違う気がした。きっとこの星の文化は、あらゆる文化を吸収する文化だったのだろう。文化は生まれ変わったのだ。」これは、おそらくこの話の中で一番元ネタがわかりづらいものでしょう。元ネタは、FPSゲームであるRainbow SixのTachankaのセリフ、"I've seen it all."と"They told me I’d died. They were wrong. I was reborn."です。淡風はFPSゲームが苦手であまりやらないのですが、APEXなどのビッグタイトルをはじめとしたFPSゲームの世界観はかなり好きです。Rainbow SixもFPSゲームとしてはかなりのビッグタイトルですし、シリーズは古参のものになります。もう少しわかりやすいほうがいいかな、とは思いましたが、オマージュとはわかる人がわかればよく、わからない人はわからなくて楽しむ分に不都合がないというほどで構わないと考えているのであえて気が付きづらいような盛り込み方にしました。

そして最後、「出会ったそれと呼んでいたもの」としてとつぜん「それ」と呼ばなくなったのは、我々が「宇宙人」と括ることを皮肉っています。だから「この惑星の住民として」と強調しているってわけです。これは別にデイヴ・ペルサー「"It"(それ)と呼ばれた子」のオマージュではありません(正直なところ、この作品はノンフィクションとしてもフィクションとしても未完成だと思っていますし)。

それでは、本編に準じて近況ノートも長くなりましたが、当作品もよろしくお願いします。

淡風

コメント

さんの設定によりコメントは表示されません