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時代考証あれこれ

現在、土方歳三を主人公とした作品を執筆しているが、新八の物語と同様に、時代考証には、かなり気を使っている。

というのも、プロの、それも大家といわれる作家の新選組を題材とした作品を見ても、かなりテキトーなことが書いてあるからだ。
たとえばある作家の小説で、八王子は田舎の宿場で旅人など一日数人しか通らないなどという、ファンタジックな描写を見たときは、

「あんた八王子市民55万人全員を敵にしたね(´ー`)σ」

と、あきれてしまった。言っておくが八王子は、千住に次ぐ武州で二番目の大都会である。一日に数人って!

こういった勘違いは、司馬遼太郎大先生にも見受けられ、たとえば分倍河原で歳三とともに、八王子の比留間一門と喧嘩したあと、総司が多摩川の南岸(多摩川に南岸などない。東西である)の川原を、歌いながら江戸方面に向かう、じつによい場面があるのだが、なぜかいつの間にか対岸の矢野口を歩いているのだ。総司は、夜中の多摩川を、どのようにわたったのだろうか?

これは、だからといって「燃えよ剣」がダメだと言っているのではない。あの作品は、たしかに名作である。ただ、時代考証や地誌には注意が必要だと言っているのだ。

ちなみに、喧嘩相手の比留間与八は、僕が作品に書いたとおり八王子の道場には、たまに出るだけで、拠点は埼玉県である。また、のちに紀州支藩の剣術師範になった人格者で、天然理心流ともめたことはない。

もっとも、あんまり詳細に考証していたら物語の入り込む余地が少なくなるので、意図的に改変するのは、作家次第。僕もそのあたりは、けっこう事実をいじっている。

ただし、JJこと、植草甚一氏が鬼平犯科帳の解説に、池波正太郎の小説に出てくる店は、明らかに創作のものを別にすると実在した店が多い。

と、書いてあったことに、高校生のころ非常に感銘を受け、僕の作品に出てくる店もなるべく実在していた店を出すようにしている。いまではそういった老舗のことを調べるのは、一種の趣味になっており、おそらく歳三も訪れていたであろう二子溝口の薬種商(現在はドラッグストア)「灰吹屋」では、こないだ安売りのトイレットペーパーを買ったりもしている。

あれっ、なんの話だったっけ。

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