• 異世界ファンタジー
  • ラブコメ

↖︎逆お嬢様を製錬↘︎




———イメージして欲しい。
 いや、寧ろそうしなくてはならない。
 だって、そうしなくてはならないので。

———集中。

———集中。

———集中。

———「おはようございました」

製錬完了。
立派なお嬢様が出来ました☆

「いや、寧ろワタクシはお嬢様に非」

「そうは言ってもね、君はお嬢様なんだよ」

「いや、寧ろワタクシは逆バニースーツに於ける
 非曲線的無機曲線の類型で候」

「そうは言ってもね、君はお嬢様なんだよ」

「いや、寧ろワタクシはユークリッド幾何学に於
 けるエニグマ的受容体の類型で候」

「そうは言ってもね、君はお嬢様なんだよ」

「いや、寧ろワタクシハ五次元空間に於ける
 アカシック・レコード的虚の類型で候」

「そうはいってもね、君はお嬢様なんだよ」

いや、寧ろワタクシは…………

…………………………

…………………

…………

……




———————————————————————

「この意味の無い文字列は一体何?
 君の人生を象徴しているわけ??」

「意味は与えるものであって
 最初から意味があるものなんて無いよ」 

これは書き手の単なるストレス発散(実際の所、別に積み重なったストレスが減りはしなかったけれど)にしか思えない代物である、一見。

「読み手は
 『そこに文章があるので読む』という
 作業を無意識的にやり始めるんだ、勝手にね。

 だから、意味がない不慣れな言の葉が
 行き交う乱文を読んでしまう。
 そしてこう思う
 ———この文に作者は何を託したのか、て」

ミカシチは僕のクビ根っこ抱き寄せて、
それからもう一度乱文を音読した。

「無いよな、やっぱり」
「無いとも」

ミカシチは僕の頭頂部を拳で擦った。
お構いなしである。
(お構いなしである)

「でもさ」
「んあ?」
「意味の無い文を読ませる事が出来た。
 ミカシチに限っては2度も」
「…」

ハゲるハゲる!!

、、、それはそれとしてミカシチは
凄い着痩せするタイプだったのだなと
僅かな余力で感じた膨らみの感触に思わず
心鼓を打ってしまった。

「フルコン空手って凄いなあ!!」
「こんなんカラテじゃネーヨ」

バンギャライク※なミカシチは
実は熱心なカラテウーマンなのである。

(※バンドをやってるギャルの意であるが、ギャルは諸説によると平成の時代に絶滅したという事であるらしい)

「結局読ませられたから何なん?
 ガキの揚げ足取りみたいなんやって…
 嬉しーからホめて〜って事か??」
「小説って媒体は存外に
 自由だし、フリースタイルダンジョンだし
 実は読み手に色々な変化を与えられるよね…
 って いう 気付き な だけ……なんで
 三角絞めぇ……」

ミカシチはきっと、
ゲームのムービーは飛ばせるなら
全部飛ばすタイプの人間だ。

いや、そうに違いない。
そういう女は嫌いだ!!!!

「ぎゅっーーーと。
 昔みたく優〜しくハグしてみた」

こういう女は好きだ!!!!

「もう9年くらい前だっけ? 会ったの」
「やめろ」
「え」

何かトラウマなぞあったのだろうか?
悪いことをしてしまったかな、しまったな。

「———まるでアラサーになっちまった
    みたいじゃんか」
「アラサーでしょ」
「可愛げのねえガキだなったく!!」
「もうガキじゃないけどね」
「っち…」
「ガキみたいに舌打ちしないでよ」

久しく呼び出されて会ってみて
変わらず(変わっているべき事もどうやらそのようだ)元気そうで安心した。

何故だか今日の空の青は、
新しい絵の具のチューブの名前を知った時のような
意外性を僕の胸に知らせた。

「アルファードやん!!
 ヤンキーだヤンキー!!!」
「アンタのがヤンキーでしょーが」

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する