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レトリックが上手い人の勝ちの巻

よく「司馬遼太郎の小説はここが違う!」と怒っている人、批判している人を目にするが、その人がいくら正しくても、

「司馬遼太郎の方が文章が上手いからな……、嘘でも何でも、読む価値があるのはこっちだな」

と思ってしまう。

また、武田砂鉄というライターが、しばしば糸井重里を批判している。どちらかというと私は、今の自民党の酷さを批判している武田砂鉄の方に近い考えで、現状を肯定して「批判は止めよう」「自分にできることをしよう」なんて言っている糸井重里のぬるさには耐えられない。

それでも、どちらかというと糸井重里の方に肩入れしたくなる。これもやはり「レトリックの上手い方が勝ち!」とどこかで思い込んでいるせいではないか。

他にもコクトー、三島由紀夫、安部公房、村上春樹などは、いくら批判されていても、憎み切れない。

これもやはり「レトリックが上手いから」なのであった。これはかなり危険な思想で、口の上手い奴にはホイホイとついていってしまいそうなのが自分なのであった。

こんなことでいいのだろうか? 

しかし改めようにも「よし、今日からはレトリックが下手な方を贔屓にしよう!!」とはできない。それは、さらにさらに危険思想であると思われる。

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