今、書店や図書館にもっとも多く出回っている「平家物語」は、自分が見るところ古川日出男の訳したもので、河出書房の日本文学全集の単行本と、それが文庫化されたものと両方あったりする。
これも読みたいが、本文に取り掛かるのはまだ早い。しかし文庫版の付記のようにして後白河天皇について書いてあったものを読んだ。
それによれば「平家物語」の主要人物は皆、途中出場で途中退場するばかりで、ずっと居座っているのは後白河だけ、この人が主人公なのでは?という。これは確かに筋が通っている。
今様(いまよう)という歌ばかり歌っているおじさんではなくて、藤原氏、平氏、源氏を手玉に取った大天狗であり、歌の歌詞を集めた「梁塵秘抄」を編纂している。
こんな人物がどのように出来上がって、何を考えていたのか、まったく不思議で興味が尽きない。