「ヘンリー6世」は形勢が二転三転する面白さが十分にあって面白かった。どっちが正しくてどっちが悪いのか、グレーゾーンが多すぎて判断できなくなる。最終的に「歴史とはこういうものだ」と納得できるようなできないような。
ベネディクト・カンバーバッチが極悪非道のリチャード3世で、カメラ目線であれこれ語る演出が良かった。これが最終作の「リチャード3世」へと流れ込むので期待が高まる。
見ているとやはり、やくざ映画と同じ要素がたくさん出てくる。権力欲むき出しの人物、手段を選ばない謀殺、裏切り、保守と革新のメンツ争い、若手の台頭、老兵の死、思いがけない勢力同士が手を組む、権力の所有者は次の世代に移譲したいが、後継者を育て損なうなど。
しかも、やくざ映画のショッキングな暴力シーンよりも、シェイクスピアの方がもっと酷い。馬糞の上に座らされて、頭には棘の冠、息子の死体から流れる血を拭いたハンカチで顔を拭われるなど、実にえげつない。とにかくこのシリーズは尻上がりに面白くなっていく。