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再読回数が多い本の巻

ツイッターに「再読回数が多い本を3冊紹介する」というタグがあって、自分の場合は何だろうかと考えると意外に難しい。

長編を読み返すことはほとんどない。部分的になら「吾輩は猫である」、ここ数年ではっきり再読したと覚えているのは「朝びらき丸 東の海へ」くらいだろうか。

ノンフィクションでは「自省録」「エセ―」、アラン、それから幸田文の「父・こんなこと」。他に山田風太郎の日記、橋本治「二十世紀」などが思い浮かぶ。

多くの人が「再読」しかも「3冊」という縛りの中で挙げている作家は圧倒的に村上春樹が多い。他の日本人作家で2位、3位はこの人、と示せないくらいばらけている。一強多弱状態なのであった。

自分は「朝びらき丸 東の海へ」をなぜか図書館で読み直した記憶があるのに、内容はあまり覚えていない。

「何のために航海してたんだっけ?」

と悩むほどで、それなら何が面白かったかというと、性格の悪い子供がいて、この子のピンチの時に励ますリーピチープというねずみのキャラクターが良い。

さらに、様々な島を巡るあたりも面白く、ラストの方の美しいイメージも素晴らしい……、それなのに本筋をすっかり忘れているというのも変な話である。

普段はあまり小説の登場人物の魅力について考えていないが、もしかすると、あらゆる創作物のキャラクターで誰が好きか、と考えた時に一位になりそうなのは「朝びらき丸~」のリーピチープかもしれない。

二位や三位は誰だろうか。「芽むしり仔撃ち」の「弟」、「飼育」の「弟」もいい……、と考えているうちに、またもや大江健三郎の話題に戻ってしまった。

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