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続・頭がすっきりする本の巻

頭がスッキリといえば、山本夏彦の本も定期的に読みたくなり、その度に頭がスッキリしたと感じる。

昨日もたまたま部屋を片付けていて、写真コラムの傑作選が出てきたので思い出した。

解説にも書いてあったが、一度読んで何もかもが理解できるという文章ではないので、二度目、三度目で印象が変わる。それでいて長々と書かれてはおらず、省略に省略を重ねたような文章である。

しばらく間を置くと、こちらもたとえば戦後の日本について知識が増えたり、60-70年代の学生運動に関する理解が増したり、荷風を読んだりした分だけ、山本夏彦の文章が分かる度合いが、より増したと感じる。

そうでなくても断定的な文章なので、意味の全部は理解できなくてもスッキリするのかもしれない。

先日読んだばかりの「ストーリーが世界を滅ぼす」では、
「安直な、勧善懲悪的なストーリーを人間は好む」
「人間は分かりやすい単純な悪(=敵)を求める」
と書かれていたが、山本夏彦はもっと短い字数で、もっと深いことを書く。

「人間は金銭よりも正義を好み、その正義の本質は嫉妬である」といった具合に。

つい最近出た、まるごと一冊分の本よりも、数十年も前の山本夏彦の数行の方が見事な内容になっている。

スッキリで思い出したが、コクトーの散文も読むとスッキリする。これはレトリックが見事だからだろう。

山本夏彦もコクトーも、頭がすっきりする文章の特徴というと「省略」になりそうだが、なかなかそう簡単に真似できない。

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