• に登録
  • エッセイ・ノンフィクション
  • 現代ドラマ

love is on the train

夜の通勤電車。
あなたはどんな顔で座っていますか?
疲れ果てて眠り込んでいますか?
スマホを覗き込んでいますか?
どんな顔で覗き込んでいますか?
難しそうな顔?
何かとても素敵な笑顔を時々溢していますか?

席を確保できなかった私はつり革に掴まって本を読む。
大好きな吉田修一を。
ページをめくる瞬間に顔を上げると、東京の夜景を背景にする窓にカップルが映る。
仲睦まじく、つり革に掴まって、楽しそうに話をしている。

きっと、お芝居か何かの帰りだろうか。。。
互いの片手はつり革に、もう片方は絡め合うというより、寄り添うように腕を組んでいる。

長年連れ添った二人なのか?
いわゆる、シニア婚活で知り合った二人なのか?
何方でも良いけれど、写真に収めたいくらい素敵な二人、頬っぺたがくすぐったくなるような光景に、私は目が離せない。
若いころの初恋話をレモンの味というならば、
これは、さしずめ、ゆず。
そんな感じかな。

80代くらいの二人は、とびきりのお洒落をしている。
おじいさんは、30年ぶりに異常な暑さだと言われた10月のその日に、スーツを。
おばあさんは、女性用のウィッグを着用して紅を引いて。
何を話をしているのだろう?

とにかく、穏やかに楽しそう。

いくつになっても、寄り添うように佇む男女というのは、周りを優しい気持ちにしてくれる。

老いぼれなんて、誰が言ったんだ?
ハートは何度でも再生する。
青春はいくつになっても訪れる。



コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する