顔面にびっくりするくらい沢山のホクロのあるタクシー ドライバーだった。
トランクを開けてくれるも、ドライバーの荷物がいっぱいで私のスーツケースは入らない。
仕方なく助手席に載せる。
スーツケースの右斜め前に固定されたスマホが光りだす。
my wifeと浮かび出した文字の後ろに
口づけを交わす結婚式の写真が画面に現る
鬱蒼とした私の気分を一瞬にして吹き出し、
私の顔に笑顔が灯る。
どんな人も幸せになる権利がある。
幸せな人間、幸せなものは何人をも笑顔にする
でも
それは
何をしてでも勝ち取った幸せじゃダメだ
そんなことをして得た幸せは幸せを生まない
幸せは幸せを呼び
周りを幸せにする。
それが幸せだ
幸せが誰かを悲しませることであってはならない
幸せは誰かにとっての悲しみのしわ寄せじゃないから
もしあなたの幸せが誰かには悲しみのしわ寄せをした結果なら、悲しみもまた連鎖し、小さな丸を描くだろう。
あなたの幸せが本物の幸せならば、それは外へ連鎖し、弧を描くだろう。
「運転手さん。素敵な写真ですね」
電話を切った運転手さんに思わず声をかけた。
「そうだろ。世界一綺麗なワイフだよ」