「魔法まで地味」を含む小説

　この不完全世界では、願いが叶ってさえ幸福になることはできない。魔法を使ってさえ、幸せになることは――それでも一人の少年はそれを信じて、あることを願う。世界を優しいままにしておく…

　運命を支配できるとしたら、人はどうするだろう？　すべての失敗を、すべての後悔を、なくすことができるだろうか。もしかしたら、それも可能だったのかもしれない。かつてあった、完全世界…

　かつて世界は完全だった。幸せも、優しさも、何もかもが。けれど、人はそこをあとにした。そして多くのものを失ってしまった――魔法も、その一つだ。 　宮藤晴は小学校五年生の、少し大人…