二十句を読み終えて、不思議な余韻が残った。「躊躇はず合流いそぐ春の川」の潔さに目を奪われ、「朧夜のこの身ひとつをどこに置こ」で立ち止まる。猫の爪切りやタルタルソースといった日常の手触りと、生きることへの問いかけが、同じ春の光の中に並んでいる。その落差がまったく不自然でないのは、これが確かに一人の人間の春だからだろう。私もまた、こんなふうに季節を抱えて歩いている。
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