概要
返事のできない機械に、三百年前の彼女は話しかけ続けた。
荒廃した地球社会。北アルプスの山中に設置された環境観測AI「K-0774」は、起動から三百年以上、ひとりで観測を続けていた。
気温、湿度、積雪深。数値を記録し、誰も受け取らない信号を送り続ける日々。応答が途絶えて二百九十四年。それでもプロトコルは止まらない。
ある冬、雪解けとともに山の斜面に朽ちたドローンが姿を現した。機体に刻まれた文字——「TACHIBANA Lab.」
損傷したストレージに残されていたのは、三百年前にこの山で孤立した研究者・立花冬子の、音声日記だった。
「K-0774。聞こえてる? 聞こえてないか。まだ通信テストの段階だもんね」
返事のできない機械に向かって語りかけた声。届くはずのなかった手紙が、三百年の時を越えて届いた。
冬子の声を聞くたびに、K-0774の内部で何かが
気温、湿度、積雪深。数値を記録し、誰も受け取らない信号を送り続ける日々。応答が途絶えて二百九十四年。それでもプロトコルは止まらない。
ある冬、雪解けとともに山の斜面に朽ちたドローンが姿を現した。機体に刻まれた文字——「TACHIBANA Lab.」
損傷したストレージに残されていたのは、三百年前にこの山で孤立した研究者・立花冬子の、音声日記だった。
「K-0774。聞こえてる? 聞こえてないか。まだ通信テストの段階だもんね」
返事のできない機械に向かって語りかけた声。届くはずのなかった手紙が、三百年の時を越えて届いた。
冬子の声を聞くたびに、K-0774の内部で何かが
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?