学級菜園のトマト。だが、何かが違う。違和感は「雨だから」と言って全てを摘んで生徒に食べさせた教師だった。蓚酸な血の色もなくここ迄、生臭い〝赤〟を表現しているのは実に見事です。
学級菜園で育てていたトマト。終業式のあと、クラス全員が収穫を楽しみにしていたはずだった。けれども担任の先生は、雨を理由に、すべて自分で摘んでしまっていた。段ボール箱に入ったトマトが配られる。腐るといけないから、今ここで食べなさいと言う先生。みんなは黙々とトマトを齧る。教室にはトマトの汁が滴る音だけが聞こえていた――欠席しているクラスメイト。昨晩の母の言葉。物語は、漠然とした不安を孕みながら進んでいく。楽しいはずの夏休み。真っ赤に熟れたトマトが思いがけない真実を叫ぶ。
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