概要
もう、十分大きくなったよ
指定の洋品店は、新しい布と春の匂いがした。
試着室のカーテンが開く。
新品の黒の詰め襟。
肩のラインは少し落ち、袖口からは指先が覗く程度だ。
試着室のカーテンが開く。
新品の黒の詰め襟。
肩のラインは少し落ち、袖口からは指先が覗く程度だ。
いつもありがとうござます。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!短いのに、深い
少ない文字数の中に、これほどまでにあふれる愛を込められることに驚かされました。
派手な出来事は何もないのに、試着室のカーテンが開くその瞬間だけで、親の時間と想いが一気に立ち上がります。
「余白」という言葉がこんなにも優しく、こんなにも未来を感じさせるものだとは思いませんでした。服の余白は、これから重なっていく時間そのもの。そこに込められた温かさが、胸にじんわり広がります。
最後の一文に滲む、嬉しさと誇らしさ、そしてほんの少しの寂しさ。
その混ざり合った感情が静かに心に残り、読み終えたあともしばらく余韻が続きました。
短いのに、深い。
静かな愛が確かにここにある作品です。