指先の使い方さえたどたどしい、大人になってさえ、ちっぽけすぎる自分。帰りたくないと思いながら、同時に帰る場所なんて思いつかないまま、織り込めない思いを抱えて。いつか分かることがあるというのなら、どうして今分からないのだろう。私は、答えがほしいのに。それは、たまたま入ったある場所での、偶然聞こえてきた会話。過去に力がないなんて、嘘だ。そんな過去を抱きしめている私だって、きっと思ったよりはちっぽけじゃない。たとえば、心がほつれたとして。それを繕うのは、ぴかぴかの針と糸だけとは、限らないでしょう?
折り紙と人間の心を主体に書かれた本作。折り紙というものは手本を基に作る事が多いです。指先で覚えている人も居れば、誰かに習って思い出す人も、教本を見て四苦八苦する人も……。しかしながら、不器用な人は手順通りに行かず折り紙を皺だらけにしてしまいます。普通ならばこうなってしまえばおしまいなのですが、主人公の傍で折り紙を折る女性は言います。それが手本通りではなくても正解のない答えが出来上がるものだ、と。たとえ、正しくなくても、それがきっと答えになる。皺だらけの折り紙がやさしく包んでくれるような素敵な作品でした。
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