概要

花になれない私は鉄で戦う。鍛え上げた銀の刃が、この箱庭の全てを両断する
華術――それは魔力を種とし、花を咲かせる、この世で最も美しく残酷な魔術。

その育成機関である王立フロレンティア魔術学院において、アン・グラジオラスは花を咲かせられない落ちこぼれのDクラス、雑草に分類されていた。

周囲は彼女をあざ笑う。
だが、彼女が選んだのは、美しく咲く道ではなかった。
彼女が歩くのは――ただ無骨に、確実に、敵を剪定する鉄の道。

彼女にあるのは、魔力の「匂い」を嗅ぐ鼻と、それを叩き斬る「刀」のみ。

詠唱よりも速く。開花よりも鋭く。
華術が発動する瞬間の香りを捉え、華術ごと物理で断ち切るその姿は、いつしかこう呼ばれるようになる。

――『花断ち《ブルーム・カッター》』

これは、美しい箱庭を鉄で斬り拓く、一人の少女の物語。

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