肉親の死という重い題材を、感情の説明に頼らず、物や身体の感触で描き切った静かな力作。夜の停滞した時間の中で、悲嘆を言語化できない人間の状態が丁寧に積み重ねられていく。劇的な展開や明確な結論はないが、圧が静かに抜けるような余韻が確かに残る。派手さより誠実さを重んじる読者に向いた一編。
もっと見る