36歳から始める一人暮らし

タヌキング

我が王国の誕生

 子供部屋おじさんになっていたタヌキングが、母の「一人暮らししたら?」一言で一人暮らしに踏み出した。昔、高校の教師との面談の時に母が「長男が県外に行ったから、次男には家に居て欲しいですね」という言葉をぶっこんで来たことを忘れていないタヌキングは正直イラっとしたが、これも良い経験だと一人暮らしを敢行することにした。

 まず物件選び、タヌキングは部屋にこだわりはなく、一人が暮らしていけるスペースがあれば良いと感じていた。ゆえに間取りなんて二の次、電車をよく使うので徒歩で駅まで行ける場所が好ましかった。

 部屋選びで難儀だと思ったのが、部屋をキープできないことであった。この物件が良いと思って見に行き、どうしようかと悩んでいる間に他の人に取られる。こんなことが何回もあった。部屋は即断即決で決めないといけないのか?と部屋探しの洗礼を受けてしまった。

 何とか住む部屋を決めると、書類を大量に書かないといけないことにウンザリした。最早何の書類を書いたかも覚えておらず、住所変更届、転居届なんかもタヌキングの精神を削っていった。

 あと家電が高い。洗濯機は安いのでも10万を超えるし、食器乾燥機も意外と1万を超える。冷蔵庫は一番小さいものでも3~4万かかるし、タヌキングの貯えを圧迫してきたのである。これって新社会人の子が一人暮らしをする時は親に買ってもらうって感じなのだろうか?だとしたら羨ましい、36歳のオッサンには親から金銭的な援助は一ミリも無いのである。こんなことなら入社と同時に一人暮らししておけば良かった。


 一人暮らしが始まると親の喧嘩も聞こえない静かな空間が何とも心地良い。極寒だった実家の部屋とは違い温かく、炬燵に入っていれば冬も越せる。フライパンなんてロクに使ったことは無いが目玉焼きも案外楽ちんである。掃除も洗濯も苦じゃないし、食器も洗うのもその日にしないと落ち着かない。自分って以外にも一人暮らしに向いているんじゃないだろうかと今更気付いた。

 ただ生活するに当たり必要な物をそろえるので再びお金を使うし、実家の漫画などを今の部屋に置くことを考えると億劫になってきた。計算すると使えるお金というものが見えてきて、こうなるとやはり税金って取られ過ぎだろって溜息が出る。

 まぁでも、借り物のアパートだろうが自分の城。一人暮らしをエンジョイしているのは変わりない。元からジムに行って鍛えているので体調管理は万全だし、コンビニ弁当などに頼ることも無い。早起きして執筆もしやすくなり、家族のあれこれに巻き込まれることも少なくなった。一人暮らしって精神衛生上は良いのではないだろうか?

 このまま孤独死することが濃厚だが、孤独って快適なので、そうなることも別に怖くない。死ぬまでこの悠々自適な一人暮らしをエンジョイできれば良いかな?って思う今日この頃であった。

 

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36歳から始める一人暮らし タヌキング @kibamusi

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