私なんかよりも大人なあなたへ
タイヨウ
大人なあの子
小学校時代、少し家庭環境が複雑な女の子がいた。
でも、その子は話も面白くて明るくて、優しい子で、私の友達だった。
その子の母親はヒステリックで、なんでもマイナスに考えてしまう人らしい。
でも、授業参観のときに会ったその子のお母さんは想像と違って、美人で、身長が高くて、おしゃれで、「なんかすごい大人」って感じがしたことを覚えている。
そして、その子が一番気にしていたのは、お姉ちゃんだった。
その子のお姉ちゃんは高校生。高校に入学してから半年ほどで鬱病を患い、今はカウンセリングに通いながら学校には行けていないと聞いた。
私には遠い世界の話だった。
そんな中、意外にもその子からお姉ちゃんの話題はよく出ていた。
「昨日一緒にポテチ食べたんだ」
「お姉ちゃん、絵書いてるんだよ!」
そんな話を聞いて、きっと、お姉ちゃんって優しい人なんだなって思った。
ある日、その子がクラスの男子に揶揄われて喧嘩してしまったことがあった。
ブスだとか、顔面偏差値低い、とか言われたらしい。
その子は放課後の教室で泣いていて、友達に慰められていた。私もその子のことが気になって帰れなかった。
その子は結局、揶揄ってきた男子を許さなかった。
「私多分、このことは許せないと思う」
泣きながら、それでもはっきり言ったその子が、私はなんだか遠い存在に感じた。
そして、学校帰りに、訳も分からず涙が止まらなかった。
その子が悪口を言われたことが許せなかったのか。
その子が自分より大人に見えたことが嫌だったのか。
考えればいろんな理由が浮かんできたけど、なんだか全部違う気がした。
そして、小学校を卒業して、その子とは同じ中学になった。
でも、クラスは離れて、その子は私以上に仲の良い友達ができた。私も、その子よりも仲の良い友達ができた。
今でも、私はその子のことがなぜか忘れられない。
私なんかより大人なあの子が、自分らしく幸せでありますように、と心の奥で祈っている。
私なんかよりも大人なあなたへ タイヨウ @taiyo0607
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます