しょうもないおじさん

白川津 中々

◾️

 ただ疲れて、もう飲んじゃおと思って立ち飲み屋に入ってボケていると、新規の客が入ってきて隣に陣取ったのだった。


 ガラガラである。空いている場所にいけばいいのにと思わなくもなかったがボケていたので秒で忘れて酒を啜る。シメサバと煮物が安い清酒に流されていくのが心地よい。日常の疲れごと消えていくようで、何もかもが半分どうでもよくなってくる瞬間である。


 その至福に、ノイズが走る。

 隣からパカパカと異音が届くのだ。なんだなんだ不愉快だなと横目で確認したところ、先程入ってきた客がスマートフォンの手帳型ケースを断続的に開閉している。やだなぁなんて思いながら酒を進め、アテを突いていると、今度は視線を感じる。隣の人間に視認されているようだった。これは何か話を振った方がいいのだろうかと、いやしかし、会話をしたいなら自分から話しかけてくるのではないかと逡巡し、結論として無視を選択。残っている酒器と皿を空けてそそくさと勘定をつけてもらった。


「ありがとうございましたー」


 見送られる際、チラリと隣にいた人間を見ると、若い女だった。しまった、これは話しかければよかったななどとしょうもない後悔を抱きながら、店を後にするのであった。

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しょうもないおじさん 白川津 中々 @taka1212384

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