貞操逆転世界でTS魔法少女になったが追放されホモから逃げつつダンジョンで配信者やってます

mono-zo

貞操逆転世界でTS魔法少女になったが追放されホモから逃げつつダンジョンで配信者やってます


前世は男だった。


ヒーローや格闘技がちょっと好きな程度、ごくごく一般的なおっさんだったと思う。


なんかよく覚えてないけど、死んだ。


それでいつの間にか孤児院で、少女になっていた。


自身のアイデンティティと筋肉の喪失に嘆きつつも……死んだものは仕方ない。後悔も反省も絶望もしつつ――――生きているんだから前を向いて歩くしか無い。



この世界はおかしなことばかりだ。まず男女比率は、いや女男比率は20対1ほど。



テレビを付ければ怪獣速報があり、対応するのは魔法少女である。


魔法少女とはなんぞと思ったが……彼女らは女神から与えられた神秘の力で何処からか現れる怪獣を退治するエリートである。国によって支援された超高給取りである。


それだけでかなり突っ込みたい部分はあったが、良い部分もある。


地図を見るに地球、しかも日本である。


ただ、文明や地名が微妙に違う。コンセントは三角形だし、飾磨県とか聞いたことのない都道府県がある。テレビはプロジェクタータイプが主流。何処のご家庭でもかなり大画面。どこの家庭にも掘りごたつがあったり、なんか日本神話的な女神の彫像が置いてある。座布団は丸形が主流。


……歴史も知っているものとは違うし、かなり混乱している。



幼稚園は苦労した。


成人済みおっさんが園児のノリに混ざるのはきつい。


でも虐められたりしたわけじゃなく、むしろ人気者だった。遊び方が前世と違っていたからちょっとした遊びを教えただけなのだけど……園児からすれば「知らない遊びを知ってる」のはかっこよく見えるのかもしれない。めちゃくちゃ振り回された。


小学校になれば……『魔法少女』なんてものをちらほら見かけるようになった。


この世界には魔法少女がいて、彼女たちは何処かから現れる怪物と戦う。


それらは隠されてたり出会っても記憶を失うわけでもなく、普通にテレビに流れていた。……少女だけが魔法の力を女神から授かり、謎の敵と戦えていた。



「女神様に祈りなさい」


「はーい」



我が家が特別信心深いわけではない。何処の家庭にも女神像はあって、なにかにつけて祈る。特に年頃の少女がいる家庭は魔法の力を授かるためにも熱心に祈る。


小学生にもなれば学年に一人か二人は魔法少女がいる。


彼女らは全生徒の憧れである。


怪物や怪獣が出れば校庭に停車している車で現地に行き、皆で怪獣をボコる。


基本的に怪獣は一般人には倒せないほど強いが魔法少女は怪獣に対して特化した力が与えられている上に、出現する怪獣一体に対して魔法少女は集団で戦うから「ボコる」という表現が正しい。


彼女らはあらゆる面で国から保護され、優遇される。怪獣が出れば授業は免除され、怪獣討伐に出れば給料が……「お小遣い」と言う名で支給される。何もなくてもお小遣いは出る。


そしていつか魔法が使えなくなっても国が生活を保証する。


自分の通う学校では女男比1対30、クラスのほとんどが女子だ。男子は在籍はしていても登校してこない、自宅学習が多い。



「あれ?あなた……男??」


「女ですが?」


「あれ?故障かしら??」



毎年魔法少女の適正検査が行われるが……何故か男とされた。


前世の存在が間違ってなかったという気がして嬉しかった反面、水晶型の装置がこんな反応するのが初めてで困惑した。



「こんなこと初めてだわ」


「怪獣の影響じゃないかしら」


「未知の魔法の可能性もあるわね」


「要観察ですね。外部的要因じゃなく、彼女の魔法かもしれないわ」



……魔法かぁ、これまで毎年触ってた水晶に反応があったんだから可能性はあるのかもしれない。


だけど男性か女性かの判定もされてたのか。



「私たちが彼女を見ることにします」


「よろしくね」



それから……監視のためか、同じ学校の魔法少女数人による監視が順番に行われた。



「何恥ずかしがってるのよ」


「いやー、そのー……」



風呂まで監視されている。なんなら布団も一緒である。


彼女らは我儘な場合も多いが見ていて理由がわかった。


彼女らは若くして魔法少女になり、怪獣と戦う。


怪獣は建物を破壊するだけの力を持っているから魔法少女もそれなりに傷ついていた。



これまで、この男女比が逆転したわけのわからない世界から、魔法少女から――――目を逸らしていた。



「逃げて!」


「ここは危ないからっ!!?」



ある日、たまたま怪獣が近くに現れた。監視対象の自分がいたから避難しようとしていたが……怪獣は強く、逃げた咲の避難所にまで来てしまった。


怪獣は強く、何人も倒れた魔法少女がいる。


俺を、護ろうとして倒れた――少女がいる。



「魔法だかなんだかわっかンねぇけどよ!!」



建物サイズの醜悪な怪獣が、倒れた少女に迫っている。


落ちていた鉄パイプを拾って走る。



「女神がいんなら!!!」



生きたい子供がいる。


死なせたくない俺がいる。



「――――力を、貸せぇぇぇ!!!」



力が、溢れた。



❖❖❖



俺の魔法は『変身』だった。


力が溢れたと思ったらでかい筋肉マッチョな男の身体になっていて、驚くほどの力で怪獣をボコることが出来た。


俺の監視をしてくれた魔法少女はみんな仲が良かった。


それは……命がけの戦場の仲間だからだ。普段は我儘だが、いつ死ぬかわからないし、お金の使い方のわからない少女に大金を渡せばそうなっても仕方ないように思う。


大人の精神が残ってる自分には少なからず彼女らの理不尽な境遇がわかってしまい、助けたくなった。



それから自分の生活は一変した。



この世界で男性の立場は弱いのに現れた男性の魔法少女。自分の「変身」をファンは「英雄化」なんて呼んでいるようだ。


そして女性にとっても自分を守ってくれる男性は珍しいらしく……何故かモテた。モテるのは良い。モテないよりは……ただ問題はここからだ。…………魔法少女からも、男からも、そして敵からも好かれている。



「くんな貴様ら!!?俺は男だ!!!!」



あと、この国の女神からは嫌われた。


イレギュラーな魔法だけど、それでも魔法は魔法。


魔法少女協会に登録しに行くと――――拒否された。


何処のご家庭にでもある女神像の女神様直々に「男は駄目だ」って拒否られた。結果、「魔法少女」としての認定はされず、魔法少女ありきの世界での恩恵はなく、怪獣を倒しても報酬は無し。



「ってことであなたは追放よ。二度とその顔見せないで」


「このクソ邪神が!!?」


「さっさと連れて行って…………たく、何処の神の仕業よ」


「「「はいっ」」」



そんなわけで、学校に行くのは辞めた。


学校には必ず女神像があるし、そもそも学校なんて女神の信徒養成所のようなもんだ。


育ててくれた孤児院からも無慈悲に追い出された。


結果、小学生にして、家を失った。



まぁ俺は大人だ。



しかも魔法で変身できるし日雇いの仕事ぐらいなら出来る。怪獣の襲撃のあるこの世界では修繕作業もあるあるだ。



「お、新入りだな!よろしく頼むよ!」


「親方よろしくお願いしまっす!」


「元気だねぇ!その調子で頑張ってくれよ!」



結構男も多いし、学校よりも気軽なもんだ。


――――ただ、学校で、面倒を見てくれた彼女らが心配だ。



「まーた怪獣だってよ」

「また直さなきゃな」

「だりー」


「こら!それが俺等の仕事だろ!」


「「「へーい」」」



仕事の内容を考えれば、愚痴が出ても仕方ないだろう。



「しかし、近いな」



親方の様子から、ここに危険はないのだろう。



「何処です?」


「ここには避難警報は出てないが、あっちだな」



ビルから方向を示されて見てみると……通っていた学校の方向だ。


土煙が見えることから大体の位置はわかる。あそこなら――――彼女らも行くはず。



「親方」


「なんだ?」


「すいません。行ってきます」


「おまっ!?ばかっ??!」



それなりの高さのビル、大きく割れた窓を飛び降りて……怪獣を倒しに行った。


子供が苦労してるなら、大人で、力のある俺が助けるのは当然だろう。


一瞬で怪獣を殺して、すぐに立ち去る。



しかし……思わず体が動いたが仕事を抜け出してしまった。



普通に考えりゃクビだ。


しかもこの世界は女神教ばかり、当然賛否のある自分は……嫌われてもおかしくはない。


久しぶりに女の子モードで仕事道具を現場に持っていく。



「すいませーん」


「なんだ?」


「男の人からこれ預かったんですけどー」


「ヘルメット?何処の班のやつだよ……ちょっと待ってな」


「あ、渡したんで私帰りますねー」



置いて帰って、途中の公園でどうしたもんかと今後を考えていると親方が走ってきた。



「おい!」


「え?」


「お前!いきなり飛び降りるとか!心配かけやがって!!」


「誰かと間違えてません?」


「おらっ!さっさと戻んぞ!!手間かけやがって……」


「あの……」



無理やり連行され……現場に戻ると、褒められた。



「あんなでっけぇの良く倒したな!」

「すげぇじゃんか!」

「握手して!」


「ア、ハイ」


「おぉ!俺初めて魔法少女に握手してもらったぜ!」

「良いな!俺も俺も!」

「意外とちっさいのな」



どうなってるのか……聞いてみれば、魔法少女初の追放騒動はニュースになっていた。


そして自分が来たことで子供が社会にポイされたのを察してくれたらしい。


親方はヘルメットを見てすぐに監視カメラで確認して探し回ってくれたそうな。まぁ着てきたインナーは同じだったしな。



「お前がいないと現場回んねーしな、これからも頼むよ」


「お、親方……あざっす!!」



そんなわけでこれまで通り働きつつ、近くに怪獣が出れば抜け出すようになった。


魔法少女の使う端末には怪獣警報が出るから何処に怪獣が出たかすぐに分かるが、追放された私には当然配給されていない。


そもそも助けに行く義理もないのだけど……やっぱり近くだったら倒しに行く。



そもそも怪獣が発生するのはダンジョンという穴の先らしい。


そこは資源も多くあるし金になる。自分なら怪獣は倒せるし、金儲けになるんじゃないかと……たまにダンジョンを攻略するようになった。投げ銭のために配信もする。工事現場はタイミングが合えば行くようにしている。



「お、俺と結婚を前提にお付き合いしてください!!」


「やめろっつってんだろ!俺は男だっ!!!??」



たまに変なのも湧くが、これが日常である。

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