沖縄のとわる歩兵部隊のお話

貓と漣

ガキとの生活

第1話―夜中―

投稿者は小説を書くのは初な為

ご感想やご指摘等をしてくれると幸いです。

又、連載は不定期ですのでそこの所はご了承ください。

――――――――――――――――

―一九四五年四月一日。―米軍、沖縄本島上陸。

戦況が悪化している中とうとう沖縄に鬼畜米帝が上陸してしまった。―ここだけでも守らなければ。―そう何時も思う。


沖縄の防空壕は意外に狭い。……その中でただ一人で敵に警戒しながら銃の手入れをしている。


そこに誰かの気配がした。ふと顔をあげると二等兵の北が居た。その姿は軍服に泥などがついていて顔も怯えてる。


明らかに何かがあると推測される。

そして自分は――「……何をしよっと。」――そんな冷たい愛想もない言い方で問う。

自分と目が合うとすぐに逸らす。そして


「一ノ瀬一等兵何もないがちゃ、」

と震える声で言う。

なんもないわけが無い。明らかに何かに恐怖を抱いている。


そこに同期の南が何か理解不能な言葉を発しながら走ってこちらに向かっている。

何かを担いでいる。また何か企んでいるのかと頭にその様な考えが過ぎる。


南が近づいて来たらその担いで来たのが何かがわかった。

―ガキ―。なぜガキを持ってくるのか意味が分からない。

いや、此奴の思考が全然分からない。


「……其奴はなんだ。南。変なもん拾ってきよって……」


「…わっぜ!凄かばい!一ノ瀬ェ、拾うてきた!」

そう言い二パッと笑う南。本当にこいつは何考えているか分からん。

そして適当に会話しているとその子供が口を開く。


「えー。にぃにぃ、離せェー、!」

独特な口調。多分沖縄の子供だろう。嫌がっているというのは南は分からないのか。

そこでガキが何かを呟く。それをさっきまで黙ってた北が耳を澄ませて聞いているように見える。


そこで北がそこのガキに向かって口を開く


「貴様。今、何ちゅうと?……はよ答えてみぃ。」

……こいつ何か急に雰囲気が変わったなと思った。北がブチギレるような事をこのガキは言ったのか。

見るからしてさっきの怯えている様な姿じゃない。信じられないものを見るような顔をしている。

その北の姿を見てこのガキは少し怯えたが反論するような雰囲気でここにいる歩兵らを敵に回すような言葉を言った。


「……にぃにぃ達よー?兵隊さんサー?だから嫌いなわけよー。」

……ここにいるヤツら全員殺気に満ちている。まぁ、分からなくも無い。

我々歩兵を馬鹿にされていると同じだからだ。……人生で初めて兵隊が嫌いって言われた身からしたらすぐに処罰したいと思うだろう。必死にお国の為に働いているというのに。このガキ非国民か。


―これはまだマシな方だ。ここには、自分、ガキ、南、北しかいないから 。―赤間上等兵や、升田にこの事が聞かれてたら今頃―考えないどこう。―


自分はいつの間にか刀を引き抜こうとしていた。相当このガキの発言が気に食わなかったからだ。そりゃ発言は気に食わん。

馬鹿にされてどこに有難うなどと礼を言う者がいるのか。そういう奴は多分狂っているだろう。


そこで自分が刀を抜き出そうとしている手を南が慌てて抑える。

どうやら子供相手には流石にダメだろ…と目で訴えている様に見える。


「よかじゃ、はよすらぬか。」

そう自分に向かっていった。自分の手を掴んで阻止しているように見える。とにかく冷静になることが先だ。

南は自分が抜き出そうとしていた刀を震える手で鞘にそっとしまう。とにかく今は冷静とならないと。

そう思っていたら北がさっきの怒りきった声から少し落ち着いた声で言う。


「まっ、落ち着いて考えとっ」

その声は焦っているようにも聞こえるがどこか心に響く声でもあった。そして北は自分を見たあとガキの手に握っているのを見つめる。

そして何かに気づいたように少し驚いたような、好奇心が込み上げているような声で言う。


「このねんね、何か持っとるがや……?」

そう言って北はガキの持っているものを見ようと近づき、南は何か気になったのか、ガキが握りしめているものをジッと遠くで見つめる。

そこで南が口を開く。


「……おい。一ノ瀬ェ、こんガキの持っちょっの、ただのガラクタぢゃなかど。」

珍しいものを見るような目で、ガキが持っているものを見て、真剣な声で言っている。それは――氷砂糖と乾パンが入った瓶だった――


俺は咄嗟に口が開いた。そこにはあるのは食料。奪うわけではない。激戦地の子供らは自分ら歩兵より痩せているから。このガキら生かすべきだ。少しでも沖縄に未来が生まれるように。そう思う。


「……えぇ、ガキ。お前、なんば持っとると。」

あえて冷たい声で言い放つ。ガキでも自分らのことを馬鹿にしてきた。馬鹿にしてきてなくてもこうだろう。

自分ら軍人の舐められては困る。だが、何故ガキが夜出歩く。敵に殺されたいのか。ガキは怯えて身体も震えている。――数分後。やっと口を開く


「か、乾パン。妹と集めたさぁ、…」

ガキのもう1人ガキがいるのか。自分の推測なら妹はこのガキより1つ、2つ下であろう。だから死が隣でも夜を出歩くのか。空腹は子供では耐えられないからか。……だとしたら。親はどうした。――居ない――その言葉を思い出した。

言葉が詰まった。今でも見たくない事を思い出した。だが、ガキ相手に心配される筋合いは無い。ここは我慢。何とかしてでも取り敢えず落ち着かなければいけない。

それに1番最初に気付いた同期の南は、自分の方を見ていたガキを北の方に興味が行くように軽く何か話す。

北は慌てた様子でけれど少し楽しそうに南とガキに話しかける。少しでも過去の事から抜け出そうと耳を澄ませて会話を聞く。


「ねぇ、何が好きながいね?怒らんから、教えてま…?」

そこのガキの肩をポンポンして尋ね温かい視線をガキに向ける。

南は微笑みから考えられない事を言い放つ


「敵に見つからいごてじゃったら、食いもんこんくれ。」

いや、ガキにそういう方が恐怖感抱かせるだろ、。

しかも自分も同じ九州だけど、一番鹿児島の方言が分かるまで時間かかったし、このガキ多分聞くの初めてだから、『食い物くれ』って言ってるのと同じように聞こえるのでは、?本来は「食い物隠せ」だが……。

―南、貴様。このガキ逆にもっと警戒してるではないか、言葉が足りんにも程がある。―


まぁ、仕方ない。この南という男は生まれも育ちも枕崎。そりゃ、方言バリバリ使うわけだな……。


――待てよ、?沖縄の方にも意味わからん方言あるな、だったら似て…ないよな。内地とは違うし。元々こっち琉球……?だっけな。国だったし。


その公用語が方言になって、……待て、戦国時代は内地にも阿波国とか薩摩国とか。……意味わからん。


そう過去の事を忘れて他のことを考えていると、上等兵の小林さんが帰還していた。


この光景を見ていた小林上等兵は、一瞬時が止まったかのように動きが止まり、自分の方を見てその次に南と北、ガキを見て頭の中が混乱しているように見えた。


―――数分後。やっと理解したのか安堵して自分の方に向かう。


そしてガキらを見て自分に問う。


「……一ノ瀬。貴様、あのガキはどうした。」


――あ、やっと方言から抜け出せた。


さっきから加賀弁と我が地元のさせぼ弁ならまだしも、薩摩とか琉球とかの方言ばっか聞いて、頭が狂いそうになった。そこに唯一の標準語、救われた、。


いや、そんな事より問に答えなければ。


「…小林上等兵、南ん奴が。拾ってきました。」


何とか、標準語に戻せた。上に喋る時は毎回方言になりそうでヒヤヒヤする。と安堵していたら。

小林上等兵が何やら考え事がある様に見える。


――そして口を開く


「後で、このガキをこのガキの地元に帰すぞ。今日はもう共にいるしかない。」


―意外な言葉だ。

基本子供に構う暇がないあの上等兵が、「子供を今日はここに置いとく」と言う言葉が出ると誰が想像するだろうか。


誰も想像しないだろ。いや、だって。あの人間味のない小林上等兵が……いや、待て、この人意外に二等兵とかに信頼得てたな。

ほかの部隊の最年少らも憧れてるとか言ってたな。


…それに自分が二等兵の時、小林上等兵が一等兵で、自分の仕事も大変そうだけど、ちゃんと手伝ってくれてたな。

なら納得か。


明日はここにいるガキをガキの地元へ帰す。絶対生かして。

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