鮮烈な印象を残す物語。

主人公の誠史は高校生。
12月25日、朝8時に母親に起こされる。
父親はいない。母親が働いて養ってくれている。
学校は休みだけど部活がある。マネージャーの
美歌は幼馴染。聖人と公認で付き合いはじめたらしい。

全体を通して主人公誠史の倦怠感に蝕まれた雰囲気がまとわりつきます。

そしてループのように繰り返される12月25日。
それが変わるのが第4話。

女性は月に1度、ダチョウの卵くらいの大きさの卵を産む。

誠史の衝撃を思うとやるせない。
そして誰も来ない公園で美歌と会う。

この場面がエロティックで扇情的で、作者さまの確かな筆力が伝わってくるようでした。ここのシーンとても好きです!

そして産み落とされる卵。そこには――。

永遠と終わりのないエンドレスループにはまっているようで、なにかが違う。
読み終えて鮮烈な印象が残りました。

鶏の卵の方が私は怖かったです。昔、父にからかわれたことがあって、ここが頭になるはずだったんだって。

パックに入れられた鶏の卵と、生まれ落ちる人の卵。そのグロテスクさの描き方もお見事でした!

主人公は、誠史はこの不条理とも言える月日を繰り返していくのでしょうか。

続きがきになる――そんなラストでした。