ロードパイオニア

トシキ障害者文人

第1話 自然環境

三方を山脈がぐるりと囲む平原。唯一、南側に、彼方まで街並みが広がる。遠方に、ビル群の建ち並ぶ大都会が見える。僕は、遠方の大都会に向かって、旅支度をする。ここの居場所から、そろそろ出て行く時が来た。きっかけは、ちゃんと、あった。それは――。


時代は、2024年。

「あんた、俺が、小説を書いたので、読んでね。」と、友達のKちゃんのラインが僕のスマホに届いたのが昨日のこと。僕が、表から、部屋に帰ってきたら、ちょうどスマホがなったのだ。「なになに、じゃあ、読んでみよう!」

僕は、サイトを開き、友達Kちゃんの作品を読む。タイトル「宇宙の深淵」僕は、宇宙飛行士の話しかと思って、読むと、違った。


そこは、田園風景の描写が広がる。そのなかを、一人の少女が、着物を着て、ひとり散歩している。口笛を吹いて、気持ち良さそうに散歩する少女。花咲き、ミツバチが飛ぶ。虫が鳴く。カエルがいる。一人称の小説だった。そして、少女は、草木の葉っぱの裏に、宇宙の深淵が広がるのを、感じる。それは、はるか昔からの深淵、ビッグバンまで、さかのぼる。そして、少女は、どこからともなく、歌声を聞く。それは、まるで、大空の彼方から、聞こえてくる宇宙のサインのようだった――。


こんな感じのストーリーだった。僕は、この小説に、自身のゴーサインを感じた。

「今しかない。明日、出発しよう!」

そう思い、僕は、旅支度をはじめたのだ。僕が、少女のように、ひとり旅をはじめる。散歩するように、楽しく、行こう!目的地は、まず、東京だ。そして、そこから、飛行機に乗る。みんなの許可は、もう、取ってあった。全員が、オーケーしてくれた。


ここの居場所に広がる、成りゆき任せの自然環境から、僕が、脱出する時が、やっと、来たのだった。待っていたよ。長かったナァ。またひとつ、物語が進む。

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