え?ハシビロコウ?

mono

え?ハシビロコウ?

とある日。

部屋で目が覚める。


「あー、寝ちゃってたかぁ」


……?


目を閉じ、もう一度、ゆっくりと開く。


……!?


「え!? ハシビロコウ?」


とりあえず、挨拶をしてみる。

不機嫌そうではない。


夢の延長なのか、現実なのか。

寝ぼけているのかも分からない。


とりあえず、顔を洗おう。


……やっぱり、いる。


大人しくて、共存はできそうだが、

明らかにおかしい。


「…あの、どこからいらしたんですか?」


ハシビロコウさんは無言だ。

まあ、そりゃそうか。

突然話し出されたら、こっちが困る。


……どうしよう。


「お魚、食べるのかな?」

「あ、まずは水か!」


大きめの皿を探し、水を入れて差し出す。

ハシビロコウさんは、じっとこちらを見ている。


「…あ、クッションいるよね。寝るとこ」


家にある良さそうなクッションを、そっと近くに置く。

相変わらず、ただ見ているだけだ。


(何してるんだ、こいつ)

そんな視線を感じる。


あとは、ご飯だ。

買い物に行かないと。


「ハシビロコウさん、ちょっとお魚買ってきますね」


……。


目が覚める。


「あれ? ハシビロコウさん?」


いつもの部屋。

当然のように、ハシビロコウはいない。


「…あれ。やっぱり夢か」


少しだけ、寂しい。


起き上がった瞬間、目に入る。


「…あ、これか」


そこにあったのは、ハシビロコウのぬいぐるみ。


「そっか。あなただったのね」


軽く会釈をして、日常に戻った。

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え?ハシビロコウ? mono @monokaki_story

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