生き続ける夢

第1話 消えたあの子と夢

私は大切な人を亡くした。

自分が幼かったということもあるが、トラウマというものは、二度と消えない悪夢や妄想として現れる。


しかし、すべてが悪いことだけではない。夢を交わしたことは、今も鮮明に覚えている。


「大人になったら、一緒に旅をしよう」


まぁ、本当に子供じみた夢です。

子供だから交わせる夢だと思ってください。

しかし、私にとっては、かけがえのない夢であり、トラウマの一部なのです。


「あの子に会いたい」


あの子が亡くなって十年が経つが、毎日のように思う。

夜になると、死にたいと思いつつも生き続ける意思が、どこかに存在するのです。


あの子と交わした夢を、絶対に叶えたい。

それが、私にとっての生きる希望なのか、呪いなのか、私には分からないのです。




第2話 死にたいけど生きる


皮肉なことに、私は生きている。

学校に行けば、友人と楽しい会話や遊びをしている。

正直、生きていたいという意思の方が強いのです。


私は、死ぬ死ぬと心のどこかで思いつつも生きている。

いわば、「死ぬ死ぬ詐欺」という詐欺師なのです。


学校では、「正常な人」という、私のすべてを変える仮面を被っているのです。

私は、面倒くさい性格をしているので、仮面を被っている私を見つけてほしい。

正しい道に、直してほしいと思っているのです。


私の心は二重人格のようだ。

一方は、「消えたい」「死にたい」と叫ぶ詐欺師。

もう一方は、日常生活に溶け込み、夢を思い出して静かに歩く私。


どれが本当の私なのか、分からなくなった。

少なくとも、人間としての私は、終わってしまっているのかもしれない。




第3話 夢の先で会う


私にとっての生きることは、「生き地獄」なのかもしれない。

それでも、夢は叶えたいのです。


もしも、最後まで生き続けることができたなら。

もしも、夢を叶えられたら。


向こう側の世界で、あの子に会えるなら、第一声として「ただいま」と言いたいです。

そして、生きてきた土産話を、笑いながら語るでしょう。


私の夢は、全国を旅して、その先であの子に会うことです。

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