本文及びあとがき


 「人々は皆、経験則に沿って生きている。」

こう言われたとき、あなたはどう思うだろうか。


 もしかしたら、ぱっと思い浮かぶ人もいるだろうが、大半は、この言葉だけでピンとくるわけではないだろう。

なので、私は少し、わかりやすいと思えるような例を考えてみた――


 少年は、常温の部屋の中、冷凍庫から氷を一粒、出した。

そして、それを机の上に置いた。


 さて、その氷は、時間が経過するとともにどう変化するだろうか?

もちろん、溶けるだろう。


 じゃあ、一体何故そのように考えたのか?


 答えは簡単。


思考した人が、以前もしくは幼い頃に、「溶ける」という経験をしたからだ。


 このような考え方を、『帰納法』と呼ぶ。


 では、もしその氷、もとい氷の形をした「なにか」だったら、結果はどうなるだろうか?もちろん、わからないだろう。

何故ならば、そのような経験をしたことがなく、「帰納法」が使えないからだ。


 しかし、このような状況の場合に備え、人類は仮説を立てる能力を進化させてきたのだ。


 そして、人類は皆、未知が溢れる幼少期に、仮説を立てる能力を身につけるのだ。

人から教わり、自分自身の体で知り、新しいことに挑戦し、それを次に活かす。

その行為の繰り返しによって、私達は現在に至った。


 そもそもとして、最初から全てがわかっていたわけではない。

むしろ、全てが分からなかったのだ。


 このような、仮説を立てて、物事を考えることを、「仮説思考」とも呼ぶ。

ただし、仮説を立てるだけで終わらないのが、人類というものだ。


 仮説を立てて、その仮説を元に実験をし、検証する。

このような行為を、「仮説演繹えんえき法」と呼ぶ。


 では、その「仮説演繹法」とは、どのような構成をしているのだろうか?

簡単に言ってしまうと、 観測→前提→仮説→検証 といった順の思考方法だ。

具体的な例を挙げて、一緒に考えていこう。


 ヒマラヤ山で、アンモナイトの化石が見つかった。(観測)

――アンモナイトは海に生息していた生き物である。(前提)

とすると、ヒマラヤ山もといその周辺地域は、海だったのではないか?

もしそうだとすると、ヒマラヤでは海に関連する化石が、もっと発見されるのではないのだろうか?(仮説)

――そうして、調査をした。(検証)


 という流れになる。

なかなかに発展的であり、合理的でもあることが、わかる。


 このように、「仮説演繹えんえき法」とは、日常、あるいはその他の出来事、きっかけが発生した場合に、「前提」を元に新たな仮説を考え、検証する思考方法なのである。


 この思考方法は、特に若年期にとても多く使用される。


 私は、この思考方法が使用されるということは、同時に「何か」に挑戦しているということであると思う。

若い頃は、無知であるがゆえに、仮説を立て、挑戦し、学びつづけるのだ。

しかし、年を追うと、かつての「経験」が、その頃は「正しかった経験」が、固まってしまい、結果として固定観念へとなってしまう。


 実際、若い頃は良く「仮説演繹法」が使用されるということは、事実ではあるものの、結論としてその大半は「帰納法」で賄っている。


 なぜだろうか?


 どうしてこんなにも素晴らしく、合理的である考え方が、なぜ日常的に使われないのか?


 それは、あまりにも、一つの物事に対して脳のリソースが集中されすぎてしまうからだ。人類に限らず、生物というものは、元来から「効率」というものを追求することに重きをおいている。


 日常生活では、私達は常に膨大な情報を、たった一つの器官で処理し続けている。

つまり、わざわざ仮説を立てて検証するより、過去の「経験」をもとに判断したほうが、圧倒的に効率が良いのだ。


 それこそ、常に「仮説演繹法」を使って物事を考えているのなら、いつか脳のリソースが限界を迎え、身体と自己の乖離がより進んでしまうというものだ。


 だからこそ、人類は、効率を高め、そして心身を病まないためにも、日常的な分野で使う思考法には、「帰納法」を抜擢したのだ。






_おわりに______

 さて、普段無意識に使っている思考方法や、一個人としての意見を、この文章を媒体に説明をさせていただきました。

どうだったでしょうか?

まあ、久しぶりにこのような文体のものを書いた感想として、なんとか書ききった……!という感情が強いです。ところどころ、適当な語句が見つからなくて、長くなってしまっていたり、文の構成が曖昧なところがあったりとがありますが、そこらへんは、ほんとにご容赦くださいみたいな感じですね。

ですが、少しでも「なるほど」と思っていただけたら、私としては嬉しい限りです。

もし次に書くとしたら、心理的な話題にしようかなと考えています。

それでは、またどこかで会いましょう。

___________

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