いつも僕らは噛み合わない

高伊志りく

もっと寄り添ってくれるかと思ったのに

「俺さ、ケチャップ使った料理は好きなんだけど、昔からトマトが嫌いでさ」


『あーいるよね。そういうやつ』


「お前はどっちもいけるんだっけ?」


『俺は別にトマトも食えるけど……そもそもケチャップ駄目なやつって聞いたことないな』


「でも、おかしいと思わないか。ケチャップだってトマトからできてるわけじゃんか。なのに、トマトだけ食べられないなんて」


『たしかにそう言われたら、なんでなんだろうな』


「だろ。だから、気になってChatGPTに聞いてみたんだよ」


『暇なの?』


「したらさ、焼いてるからグルタミン酸が、とかトマトは青臭さが、とか言うわけよ」


『へーそうなんだ』


「違うじゃん。俺はそんな解答求めてないんだよ」


『……それ以外になんかあるか?』


「もっと『トマト食えなくたっていいじゃん』とかさ、寄り添ってくれるかと思ったのにさ」


『お前、友達いないの?』


「お前は俺の友達だろ?」


『まあそうだよな』


「だからさ、お前も、もっと寄り添ってくれるかと思ったのに……」


『俺のことAIだと思ってる?』

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いつも僕らは噛み合わない 高伊志りく @takaishi_riku

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