路上占い、あれこれ149【占い師は正直に話す】

崔 梨遙(再)

ふと目が覚めた時に 2205文字 です。

 僕が夜のミナミで路上占いをしていた時のこと。僕は30歳くらいの奈緒子と涼子という女性達と知り合いになった。奈緒子は身長158センチのショートカット、涼子は162センチのロングヘアー。どちらも、どちらかというと細身。どちらもスタイルは良い。胸は少しだけ涼子の方が大きそうだったが、奈緒子のキュッと締まったウエストも魅力的だった。


 おっと、そんなことをしている場合じゃない。明日は土曜、明後日は日曜、奈緒子と涼子からメールが来ていた。どちらも僕を誘ってる。僕は土曜に奈緒子と、日曜に涼子と会うことにした。



 奈緒子には、本格フレンチのランチ・フルコースをご馳走して、ワインを飲みたいだけ飲ませた。おかげで昼間っから良い雰囲気になった。


『ほな、奈緒子ちゃんは僕と付き合う気はあるの?』

『うん、付き合いたい』

『それやったら、僕とホテルに行ってもらわないとアカンで』

『え!? いきなり?』

『体の相性って大事やんか、それに、僕はきっと奈緒子ちゃんで満足できると思うけど、奈緒子ちゃんが僕で満足できるかわからんやんか』

『まあ、付き合うのなら、ええけど』

『うん、行こう』



 ホテル。


『奈緒子ちゃん、どうやった? 僕で満足できた?』

『うん! 大満足! これなら上手くやっていけそう、私達』

『そうか・・・良かった・・・』

『なあ、崔さんは私で満足したの?』

『うん、満足したで』

『それでも、明日、涼子と会うの?』

『うん、会うで』

『なんで? 涼子も抱くの?』

『それは涼子ちゃん次第やな』

『抱けたら抱くの?』

『うん、抱くつもりやけど』

『私と比較するの?』

『まあ、そういうことになるかな』

『崔さんって、ヒドイ男やなぁ』

『なんで? 正直に話してるやんか』

『まあ、そうやけど・・・』

『ほな、僕とは今別れる?』

『うん・・・明日次第やわ』



 翌日は涼子とデート。昨日と同じ店。同じ料理。グビグビとワインを飲む涼子。涼子は酒が好きらしい。ちなみに、僕は酒は飲めない。頑張ってもカクテル3杯が僕の限界だった。だから、僕はワインを1杯だけ。後は珈琲を楽しんだ。


『ほな、涼子ちゃんは僕と付き合う気はあるの?』

『うん、付き合いたい』

『それやったら、僕とホテルに行ってもらわないとアカンで』

『でも、昨日、奈緒子とホテルに行ったんやろ?』

『うん。行った。だって体の相性って大事やんか、それに、僕はきっと涼子ちゃんで満足できると思うけど、涼子ちゃんが僕で満足できるかわからんやんか』

『抱き比べるつもり?』

『うん、そういうこと』

『崔さんって、正直やな』

『うん、よく言われる』

『わかった、ほな行こう! 奈緒子には負けへんから!』



 ホテル。


『涼子ちゃん、どうやった? 僕で満足できた?』

『うん! 大満足! これなら上手くやっていけそう、私達』

『そうか・・・良かった・・・』

『なあ、崔さんは私で満足したの?』

『うん、満足したで』

『だったら私と付き合ってくれるの?』

『まだわからない』

『え? どういうこと?』

『だって、奈緒子ちゃんには奈緒子ちゃんの良さがあるし、涼子ちゃんには涼子ちゃんの良さがあるから』

『え? 私と奈緒子、どっちが好きなの?』

『今はどっちも同じくらい好き』

『そんなん、ずるいわ』

『だって、奈緒子ちゃんはカワイイ系、涼子ちゃんはキレイ系、タイプが違うから』

『私と奈緒子、どっちが好きなん? 1人に決めてや』

『だって、A〇Bと乃〇坂を比較することはあっても、SM〇Pと浅〇忠信を比較せえへんやろ? カワイイ系とキレイ系は比較しにくいねん』

『ほな、私が崔さんともう会わへんって言ったら?』

『自動的に僕は奈緒子ちゃんと付き合うことになるね』

『それは、なんか悔しいなぁ。もし、奈緒子が崔さんを諦めたら?』

『自動的に、僕は涼子ちゃんと付き合うことになるなぁ』

『じゃあ、私は奈緒子と勝負する! 奈緒子とは友達のままでいるけど』

『ほな、当分は土曜に奈緒子ちゃんとデート、日曜に涼子ちゃんとデートやな』

『なんか、私達、崔さんの手の平の上で転がされてるみたいやけど』



 金曜の晩。


『処女はおらんか~? おらんのか~?』


 また、立花さんの登場だ。


『おお、崔さん、この前の土日はいなかったなよな? どうしたん?』

『デートしていました』

『この前の30女達か?』

『そうですよ。でも、立花さんは30歳に興味が無いんでしょう?』

『いや、やらせてくれるならやるで』

『はあ・・・処女じゃなくても、若い娘(こ)ならいいんでしょ? なんで若い彼女を作らないんですか?』

『作れるんやったら作ってるわ』

『キャバ嬢は?』

『うん、気に入ってる娘はいるで』

『そこは指名しまくって同伴とアフターでしょう?』

『でもなぁ、気に入ってる娘が3人いるからなぁ』

『それじゃあ、難しいでしょうね。誰か1人に絞ったらどうですか?』

『うーん、いや、俺は3人全員と付き合いたい』

『ほな、1人ずついきましょう』

『うーん・・・』

『結婚相談所とかどうですか?』

『結婚するなら処女がいい』

『結婚相談所に登録している処女の女性と出逢えばいいじゃないですか』

『そうやなぁ、それもええかもなぁ』

『で、今日は?』

『そうや、そうや、その俺のお気に入り3人と俺の今後を見てくれや』



 さあ、立花さんを占っている場合じゃない。奈緒子か? 涼子か? 僕は最終的にどちらと結ばれるのだろう? 僕は少しワクワクしていた。



 ちなみに、占ったら、立花さんと立花さんお気に入りの3人娘との相性はとても悪かった。3人とも大凶だった。




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路上占い、あれこれ149【占い師は正直に話す】 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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