思いもよらぬ結末だった

 カーブが来ると思ったら、ストレートが来て、見逃がし三振を喫した気分になった。
 私は、作者のほかの作品を読んだり、コメントのやりとりをしていたりしているので、てっきり、ほっこりする締め方をするのだろうなと思い込んでいたので、虚をつかれた。
 たぬきでも出てくるのではないかと思ったのだ(なぜ、たぬき?)。
 それはよい意味で裏切られ、よい意味で気味のわるい読後感を得た。
 この作品の気味のわるさの肝は、この作者独特の柔らかい文体とストーリーの不整合にある。
 言い換えるならば、作者(語り手)の柔らかい語り口が、ストーリーの気味のわるさを増幅している。
 絶妙な不協和音を楽しんだ。

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