この作品を読みながら真っ先に連想したのが小川洋子先生の『ブラフマンの埋葬』である。暖かみのある物語なのだが、主人公の飼う生き物ブラフマンが何の動物なのだか、最後まで明かされない。不思議な設定である。
この物語に出てくる「それ」もブラフマンに親しい存在である。ただ、「それ」があまりに日常に溶け込んでいるのが恐い。得体の知れない何かを家に置き続ける主人公。「それ」が何なのか、最後までわからなかった。
この作品はホラーなのか。それとも……。私はホラーだと認識した。読み終えて、変なものは拾わないようにしようと心に誓った。ただ、読み手によってはホラー以外の作品と捉えられるかもしれない。ぜひ、一読していただきたい。
ある日「それ」を拾ったわたし。
我々には色も形も大きさもわかりませんが、「わたし」もまた「それ」について何もわからないのです。
が、なんとなく「それ」と一緒に暮らすことに。
ジャンルはホラーに設定されていまして、「それ」の存在も初めは不気味に思えるのですが、次第しだいにかわいく思えてくるのです。
なんだか、……あまり言ってはネタバレになってしまいそうですが、「悪いヤツ」じゃないのです、「それ」。
なんだか私も「それ」と暮らしてみたいとまで思えてしまいました。
あっ、でもうちにも〇〇がいるから危ないかな……?
不思議な魅力の詰まった、「それ」との暮らし。
ぜひ、覗いてみてくださいな。
リモートワークをしながら、『ぬこ』という名の猫を飼っているのが主人公。
この物語は、
主人公は近所で『それ』を拾った日から年末。そして数ヶ月後の生活を日記形式で綴っている物語にございます。
何をしても「それ」の正体はわかりません。
ただ、大きくなること。
風呂が好きなこと。
酒も好きなこと。
お菓子なら作れること。
知れば知るほど、『???』が増えていくのです。
それの恐ろしいところは、その順応能力です。
まず、猫がすでにいるのに人間が拾って帰り、気がつけば世話をさせ、
気がつけば馴染んでおり、
気がつけば気にさせ、
気がつけば仲良くなり……。
我々が抱いている『未知』のものに対するイメージの真逆をいくとろころです。
ついには主人公も、家に招いた友達に『それ』を紹介してしまう始末。
もっと恐ろしいのは、
読み進めるうちに、読者である我々もなんとなく「それ」の存在を受け入れてしまう所なんですよね。
最初はなんだろうなー怖いなー
と思っていても、
悪い奴じゃあないんだなー
と思い始め、
可愛いところもあるなー
と、思ってしまうんです! これは洗脳に近いんですかね。
そして最後には衝撃の結末が……。
進たびに、心地よい迷宮に迷い込むこの感じ。
共有したく。
ぜひご一読を。