あなたが一番

メロ

高校生活

 みんないいな どんな人を見てもそう思う。私より可愛かったり、私より背が大きかったり、私より賢かったり、私より力が強かったり、私に誰かより優れてるところなんてない。それは生まれてから高校生になるまでずっとそう。生まれた時から双子の姉に劣り、幼稚園生になっても他のクラスメイトみんなに劣り、小学校も中学校も誰一人にも私は勝てる要素なんてなかった。中学3年生の時姉に言われたのは「あんたってブスでチビでバカで非力だよね」だった。ただ家族の誰もそれを否定しない、当たり前のことだった。私の姉は私とは真逆で出来ないことなんてなかった。双子なのにこんな差が出るものなのかと思っていつも姉を羨んでいた。

 そんな私ももう高校生だ。姉は剣道の特待で私とは違う高校に入学した。私の高校は偏差値49の共学にして全校生徒約1000人の高校だ。今から入学式、高校までは自転車を使って15分で着く。自転車に乗りたくなかった。また劣等感を感じるのだと考えるとどんどん嫌になってきた。そして7時30分に家を出ようと思っていたが結局45分に出ることになってしまった。時間ギリギリで校門につき女の先生に「初日から遅刻しないでよー」と言われた、私より美人で背が高かった。そんな時隣にもう一人女の子が居るのに気づいた。

「いやーめっちゃ寝坊しちゃった」

なんて言って可愛く笑ってた。ただいつもより劣等感を感じないのはこの子が今まで見てきたどんな人よりも可愛かったからだ。あまりに可愛くてじっと見つめてしまった。そしたらその子が

「私の顔なんかついてる?」

って聞いてきて私はびっくりしながら

「い、いや、すごく可愛かったからつい...」

その子は笑いながら

「ふふっありがと」

なんて言うから少しドキッとしてしまう。

「私メグミって言うんだ、神楽坂恵。あなた名前はなんて言うの?」

初めて名前を聞かれて戸惑いながらも私は

「リ、リンコって言います。木野凛子です」

「凛子ちゃんね、おっけー。私のことも恵って呼んでね」

最初から下の名前で呼ばれて驚くと共に私はすごく嬉しかった。こんな美人な子と喋れて自己紹介もできた。もしかしたら高校は少しだけいいことがあるかもしれない。

「うん、よろしくね恵ちゃん」

私は今までの人生で一番いい気分で入学式に臨んだ。今考えれば人生で一番いい瞬間だったのかもしれない。

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