#1

『ねぇ……ねぇ……起きて……』


心地良い声が、遠くで波のように揺れていた。


真っ白い世界の余韻を引きずったまま、ゆっくりと現実に戻される。

時計を見ると朝の5時だった。


「ん……?なんだ……?今の声」


起き上がりグッ……と背伸びをする。


「あ〜……眠い……」


頭を掻きながら洗面所へ行き鏡を見ると、ソフトクリームみたいな頭になっていて思わず吹き出してしまう。


「酔っ払ってやったのかな……?でも、なんだか変だな……

いや、前にもこんな髪型になってたよな……なんでだ?」


少し冷たい水で顔を洗い、頭の中をシャキッとさせる。


そして、顔を上げた瞬間にさっきの声が頭の中で聞こえてきた。


『ねぇ…私はNoA…拓真……あの場所へ行って……青い灯台の下で待ってる…………』



不気味さは全くない、それどころか懐かしささえ感じる。


「青い…灯台?」


その瞬間、潮の香りがした気がした。

部屋の中なのに、波の音が耳の奥で鳴っている。


だが思い当たる節が全くない。


青い灯台なんて全国にいくつもある。

どれのことなのか全く見当がつかない。


それでもパソコンの前に座り、地元に近い灯台を調べる。


何かに集中する時の癖の鼻歌が出てしまう。

 


カチ……カチ……とマウスの音が部屋に響き、少しだけ手が震える。


途中でスクロールをする手が止まった。


「……ん?」


見つけたのは地元から数百キロ程離れた灯台。


「ここか?でもこんな所行ったことないぞ?そもそもNoAって……誰だ?」


俺はひたすら出ない答えを考えていた。

寄せては返す海のように、胸の奥でざわめきだけが広がっていった。


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2025年12月12日 00:00
2025年12月15日 00:00
2025年12月18日 00:00

The Promised Ring -青い灯台の下で- 🔰暗黒石🔰 @Re_coffee

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