紫紺野灯

@Per-S-Hgante

記憶、碧い海、鎧武者

【記憶】

今日もいつも通り浜辺を歩く。

ここにきて一年は経つのだろうか。

彼女の描く絵が好きで、今日も絵の具にする貝殻を拾う。

覚えていることは海が好きだということだけ。海の向こうから波が自分のことを教えてくれるかもしれない。

海底に沈んだ記憶が打ち上げられていないか期待をしながら浜辺を歩く。


【碧い海】

朝日が照らし、外を見れば碧く輝く。

タバコに火をつけ、窓を開ける。

海は約40億年前からあると言われている。

海がどのような歴史を見てきたか、

私は知りたい。

そして、人間たちがどのような航路で、

水の惑星を航海をしてきたのだろうか?

それが私が定められた運命と信じて、

海に耳を傾ける。


【鎧武者】

某はいつからここにいるのだろうか。

戦に敗れ、某は死んだ。

それから幾年の月日が経ったのだろうか。

仇への怨念は時が過ぎても消え去ることはなかった。

さざ波の音が聞こえてこようとも、怨念は揺らぐことはない。

己の弱さへの後悔も忘れることはなかった。

あの方と海を見に行こうという約束も。

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