天体観測

せおぽん

天体観測

「あそこに小さい星があるじゃんか」

と、彼は夜空を指さし言った。


僕は目を凝らして彼が指さす方向を見たが、何も見えない。


「あの星には、きっと僕らみたいな人間がいるんだよ」


また、始まった。彼には少し妄想癖があって、時々突拍子も無い事を言い出す。


「きっと、あの星は水に溢れていて動物も沢山いるんだろうな」


「水?なんだいそれは?」

「僕たちの星のソメラメみたいなものさ」


「ソメラメはレア資源だぞ。僕らの星には1%程度じゃないか。ソメラメが溢れている星なんか、絶対にないよ。そもそも、あんな宇宙の端っこの太陽系に人間なんているわけない」


「そうかなあ」


「もう、行こう。UFOが発進してしまう」

「あの星を『チキュウ』と呼ぼう」


「センスが無いね」といって、僕は彼をUFOに押し込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天体観測 せおぽん @seopon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ