狐子記　―神と人と自然のあわいに―

神に仕え、人に見えぬ姿で“穢れ”を祓う――それが「眷属」と呼ばれる者たち。
琴ノ峰稲成大社は、稲成山の麓に建つ。
その裏手に広がる竹藪では、朝霧と鈴の音が響き、白峰モナカと仲間の羮太郎・蜜（みたらし）が
指導教官・一峰狐白のもと、日々過酷な鍛錬に明け暮れていた。

ある夜、井戸を調べに向かった三人は、そこで龍神と出会う。
騒動の末、モナカは思いがけず龍神と“師弟の契り”を結ぶことに――。

長雨が続き、山が崩れ、川が荒れる。
人の願いと神々の理（ことわり）が交錯する中で、
三人は“眷属として何を守るのか”を問われていく。

和の神々が息づく世界で描かれる、少年たちの成長と絆の物語。