本屋を巡って

桜桃

小学生であれど油断大敵

 私は、長髪黒髪エチエチイケメンが受けになる本をよく読む、ただの一般人。

 最近は、ゲームとかでも黒髪長髪エチエチイケメンが出てきて眼福の日々。


 ん? どこかのくびポロ800歳のスタイル良くて美人で声がかっこよく、小説も配信も頑張っている誰かが頭をよぎるって?

 …………誰だろう??


 まぁ、いいや。

 そんな私は今、本屋巡りをしています。


 何でかと言うと、なんでだと思いますか?

 長髪イケメンが受けの新刊がなかなか私の前に現れてくれないからですよ!!


 何でだよ!!

 私ほど長髪エチエチお兄さんを愛している人などこの世に――――沢山居てほしい気持ちもあるから何も言えないね!!


 もっと布教したい。

 けど、広がり過ぎると、今のようにほしい人が手に入らない事態にもなってしまう!!


 どうすればいいんだぁぁぁぁぁああああ!!!


「――――いや、今は関係ないか。とりあえず、本を探そう」


 もう、本屋を巡って、いつの間にか五十以上をはしごしている。

 それなのに、どこにもない。

 もう、国を出ないと出会えないレベルでは??


 今日が発売日のはずなんだけどなぁ。

 何でこんなにもないの??


 まぁ、今回の本は、ある人気ゲームの待望のコミカライズだしなぁ。


 主人公は、黒色の長髪エチエチお兄さん。

 語られるのは後の方になるが、悲惨な過去を持っており、人間恐怖症に。

 だが、ある首ポロ騎士によって荒んだ心が癒される、ダークBLファンタジー。


 しかも、主人公が受け!!

 私は、主人公受けが大好物なのだ!!


 もちろん、攻めも好きよ♡


「はぁぁぁぁぁ、どこにあるのよぉ……」


 落ち込みながら探していると、一つの本屋が目に入る。

 こんな所にも本屋があったんだ。


「…………古そう、だけど」


 新刊が入っているようには見えない本屋、だけど、賭けだ。

 私と同じことを考える人達が、沢山居るかもしれない。


 ここは、賭けだ!!


「しつれいしまーーーーーーす!!!」

「店内ではお静かにお願いします」

「あ、すいません……」


 えぇっと、新刊コーナーは…………あった。

 ここにぃぃぃいいいいいいいい!?!?


「ま、眩しい!!! 眩し過ぎて表紙が見えない!!! こ、これは、ま、まままままま、まさかぁぁぁぁあ!!!!」


 眩しすぎる本を手に取ってみると、それは私が探し求めていた本!!


「やっ――……」


 ――――クイッ


「え?」


 やったーと喜びを体全体で表そうとしたら、裾を引っ張られた。

 何だろうと下を向くと、小学生くらいの女の子が見上げている。


「え、えぇっと、なに?」


 なになになに??

 なんなの?


 女の子を見ていると、私が持っている本を見ていた。


「え、もしかして、これが欲しいの? BLだよ? ゲームだよ?? コミカライズだよ??」


 私の話を聞いているのか聞いていないのか。

 女の子の視線は本から離れない。


「それ、ほしい」

「え?」

「ほしい」

「で、でも……」


 私が先に見つけたんだし、そもそも全年齢向きのゲームだとしても、流石に小学生には早い……。


「…………ふえ……」

「え? な、なかなぃでぇぇぇえ!?」


 私がしゃがむと、小学生は私から本を奪って、そのままレジに行ってしまった。


 ……………(゜д゜)?


「これくださーい」

「はーい、742円です」

「ありがとうございます!」


 ――――ありがとうございましたー

 ――――パタン


 店員が見送る音と、出入り口の閉まる音。


「……こんの、くっそがきぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!」

「店内ではお静かに!!!!!」


 でも、小学生にも人気のゲームでなんとなく嬉しい気持ちもあるよ!!

 最近の小学生はませてんなこんちくしょうがぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!







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本屋を巡って 桜桃 @sakurannbo

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