第5話 番外編 レイル&スリムスの更生


序章:地獄の開幕


「……は?」

レイルの口から漏れた声は。


まるで人生が終わったことを悟った人間のそれだった。


王妃は折れた扇を新調しつつ、優雅に言い放つ。


「あなたたち二人。このままでは王家の恥です。ですので!…今日から“更生プログラム”を受けてもらいますわ」


「更、生……?」


スリムスが震える。

ピンクブロンドの髪の少女は、可愛い見た目に反して性格はひねくれ者。

だが今は、純粋に恐怖していた。


王妃はにっこりと微笑む。


「さぁ、始めましょう。“大人の魅力とは何か”を徹底的に学びなさい」


レイルは泣きそうだった。




第1章:王妃直伝・脱ロリコン訓練


訓練その1:大人の女性を褒める練習


王妃が指示する。

「この中にいる“大人の女性”の魅力を褒めてみなさい」


部屋には以下の女性たちが並んでいた。


・王妃(迫力満点)

・女官長(目が死んでるほど忙しい)

・王妃護衛隊長(筋肉)

・マーモット公爵夫人(慈愛の塊)


レイルは冷や汗ダラダラ。


(ぜ、全員……スリムスより……デカい……!胸が……視界に……!ひぃぃ!)


「どうしたの、レイル? 褒めないの?」


「でっ……でか……」


「なに?死ぬの?」


「すみません違います!!」


完全に追い詰められていた。




訓練その2:大人の女性の隣を歩く


「レイル。今日は“護衛隊長”と隣を歩きなさい」

「なぜですか!?」


「あなたにとって最も手強い相手だからですわ」


護衛隊長は身長178cm、体格は完全に戦士。

たくましい二の腕と落ち着いた声だが…花も恥じらう乙女である。


レイルは震える。


「ひぃ……お、おとなの、ひと、こわ……」


「何か言ったか?」


「いえ!! 言ってません!!」


大人の女性に対する耐性がゼロすぎたのだった。




訓練その3:ロリを見ても平常心を保つ


久々にスリムスが目の前に立っていた。


王妃「スリムス嬢、歩いてみて?」


スリムス「?……はい」


レイル「!!??」


顔が茹でダコのように真っ赤になり、鼻血まで出る…禁断症状である。


王妃「出禁」


レイル「ええええええええええ!!」


スリムス「な、なんで私が歩いただけで鼻血!?」




第2章:スリムスの“つるぺた克服計画”

訓練その1:鏡の前で自尊心を育てよ


マーモット公爵夫人が優しく微笑む。

「スリムスちゃん。あなたはあなたのままでとっても可愛いのよ」


スリムスはうつむく。


「だ、だって……胸もないし……子供に見られるし……レイル様だって、その…つるぺたが好きで……」


王妃の扇がピタリと動いた。


「つまりロリが好き、と……今のは聞き逃せませんわね?」


レイル「いや待って違うんだ!お母様ああああああ!!」




訓練その2:胸は……魔法で盛れ(王妃の闇指導)


王妃「スリムス嬢、胸を盛りたいの?」

スリムス「……少しだけ」


王妃「では魔法学を学びなさい」


スリムス「えっ、なんで胸に魔法が……?」


王妃は扇で口元を隠す。


王妃「マーモット公爵夫人は“天然魔力補正”であのスタイルよ。あなたも理論を学べば、近づけるかもしれないわ」


スリムス「マジですか??!!わ、私……やります!!やってやりますとも!!」


その日を境に、スリムスの学力は急上昇した。

ときに、胸への執念は…天才を生む。




第3章:レイル、衝撃の気づき


訓練開始から二ヶ月。

汗だくになりながら教本を読むレイル。

昼夜問わず魔法の勉強をするスリムス。

その姿を見て、レイルはふと気づいた。


(……俺、ロリコンとかじゃなくて、ただ“守ってあげたい可愛い子”が好きなだけなのか?)


スリムスはいつも必死で、泣いたり、怒ったり、努力したり。


(胸とか身長じゃない……スリムスそのものが好きなんじゃ……?)

レイルは目を見開く。


その思考に至った瞬間、王妃が拍手した。


「おめでとう。今日からあなたは“健全な男”です」


レイルは涙した。


「俺……俺……治ったんだ……!」


スリムスは顔を赤らめ、ぽそりと言う。


「わ、私も……その……レイル様のそういうとこ、嫌いじゃないです……」


レイルは卒倒した。




終章:二人の未来


スリムスの卒業後。

レイルは地方の行政を任され、真面目に働き始めた。

スリムスは研究者として魔法学をさらに深め、

“胸部魔力理論の第一人者”として名を馳せた。


二人は結婚こそまだだが、ゆっくりと恋人らしい距離で歩いている。


王妃は微笑む。


「ようやくまともになりましたわね。

 二人とも」


レイルとスリムスは答える。


「「……色々ありがとうございました」」


こうして——

ロリコンとつるぺたの未来は…

まさかの真っ当な方向へと進んでいくのだった。






✴︎ちなみにレイルの身長は185センチの見せかけ偉丈夫です。ハイルも身長は大差ないです。

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断罪は突然に!〜ロリコン王子を添えて〜 火猫 @kiraralove

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