第4話 心はほどけ、そして結婚へ


レイルは王妃から“ロリコン更生プログラム”を課され、日々ヘロヘロになっていた。

「お……大人の魅力……大人の魅力とは……?」

「まずその視線をやめなさい、この変態」


スリムスはスリムスで。

「胸を盛りたいなら努力しなさい」と魔法学を叩き込まれ、急速に学力が上昇していた。

因果応報?とはこのことだ?…いやいや…そうじゃないよね。


一方で。


セシリアはハイルに呼び出され、王宮の庭園を歩いていた。

夜風が優しく髪を揺らす。


「セシリア」


ハイルは立ち止まり、静かに言う。


「君が嫌なら、僕は諦める。だが……君と生きていけたら、僕は幸せだ」


セシリアは一瞬、言葉を失った。


ハイルは権力も地位も持っている。

その彼が“本当に自分を選んでいる”と、ようやく理解した。


(私……こんなに誰かに大切にされたこと、あったかな)


胸の奥で、長く固まっていた何かがほどける。


「……ハイル様。私も……あなたと生きていきたい、と思ってしまいました」


ハイルの瞳が優しく揺れた。


「……ありがとう、セシリア」

そっと手の甲に触れた唇は…痺れるほど熱かった。


その後、二人は正式に婚約し、結婚式を挙げる。


白いドレス姿のセシリアは、“悪役令嬢”ではなく、“ハイルの妻”として堂々と微笑んだ。


王宮中が祝福に包まれる中、ハイルはそっと手を握る。


「これからは、僕の隣を歩いてほしい」


「はい。喜んで」


セシリアは幸せそうに微笑んだ。


こうして、悪役令嬢と呼ばれた少女は、

真実の愛を得たのだった。

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