冬小僧の情念

TWIN

付喪なるもの

 自身の存在というものを『意思』として知り得たのはいつからだろうか。


 那由多の生きとし生けるもの達と接し、悠久のときを経て──この世に在り続けた末に宿る魂。


 八百万の神とも称された『意思』。互いに出逢い、慈しみ、憎み合い……そして愛し合う。


 どのような在り方にあっても、その存在そのものに理由がある。


 そのような魂達が集い、やがて辿り着く季節。それが我……『冬』という意思、あるいは季節の概念として練り上げた。


 それは幾多の魂が消えゆくときであるが故に、あまりにも強固な存在となった。


──だが、それだけではない


──終わりがあるということは、同時に何かが始まることも意味するのだ


 夜空の星の数ほどある魂達が「始まり」を営み、綴り、終わりを迎え消えていく。


 綴られた情念を──我を、人と呼ばれるもの達は名付けた。


──「冬小僧」


 何処いずこからともなく現れ、生きるもの達と戯れ、何処へと去っていく。


 この世に『意思』が産まれて育ち、朽ちていく様を、我は冬小僧として見守り続けていくのだろう。



 魂の/生終せいしゅう見届け/冬小僧

 


〜 了 〜

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